映画『キャノンボール』の感想 – 淡々ターン!(うざ…)

キャノンボール
出典:imdb
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作品データ

原題:The Cannonball Run、炮彈飛車
監督:ハル・ニーダム
脚本:ブロック・イェーツ
出演:バート・レイノルズ、ジャッキー・チェン、マイケル・ホイ、サミー・デイヴィスJr.、ロジャー・ムーア、ファラ・フォーセット、ピーター・フォンダ
制作:1981年、アメリカ・香港

あらすじ(ネタバレなし)

アメリカ東海岸コネティカットから西海岸カリフィルニアまでを横断する大レース・キャノンボールが開催されることになった。参加者はレーサーの資格不要。レーシング・カーでなく普通の乗用車で走る。交通ルール、制限速度55マイルなどすべて無視、誰でもチャレンジできるのだ。早速さまざまな野心家たちが集まってくる。救急車の運転手に扮装した2人組や、007にそっくりなプレイボーイ風の男、日本の名車スバルに乗っている中国語をしゃべる謎の日本人2人組、牧師に扮したジャズ狂の黒人と白人、警察を色仕掛けでたぶらかしながら疾走するジャンプスーツのセクシー美人コンビ、白いロールス・ロイスのアラブの石油王など。足のひっぱり合いなどの死闘を繰り広げ、予想もつかない難関や障害をくぐり抜けながら、これら個性的なやつらがゴールを目指す!

『キャノンボール』の感想

中学生くらいのときに土曜ゴールデン洋画劇場かなんかで見て以来数十年ぶり。
当時からかなり評判悪かったし、私もほとんど内容を覚えてないくらいだから、まったく期待はしていない。
ただ、どんな映画だったっけなあ、大好きなジャッキー・チェンとマイケル・ホイも出てることだし、ひさしぶりにもう一回見てみるか、くらいな軽い気持ちで見はじめた。

冒頭の映画会社のクレジットで気がついたのだが、これって純粋なアメリカ映画だと思ってたら、米・香港の合作だったのね。

で、覚悟していたことだが、やっぱり最初からもう駄作の匂いがプンプン。

テンポむちゃくちゃ悪くて、ダラダラと退屈。
セリフや豪華キャストさんたちの演技は悪くないから、これはきっとストーリーと編集がいけないんだな。

とくに前半のメンバー紹介の過程で編集のヘタさは著しく、群像劇なのに2組の登場人物をいったりきたりのカットバックが随所にあって、これがダラダラ感を盛り上げている。

一方ストーリーの悪さは後半に露呈していて、ゴール直前でメンバーが一箇所に勢ぞろいするところとか「なんだレースはここでいったんリセットかよ」と妙にシラける。

やりたいことはわかる。
クライマックスはぜひ豪華キャストを集めて派手なドタバタで締めくくろうと思ったんだろうが、これはレース映画なのだ。
しかもこの映画が製作された1981年はまだカー・アクション映画の全盛期。

カー・アクション全盛期時代のレース映画で、しかも豪華キャストで、クライマックスに乱闘を選ぶところがもうセンスがぶっ壊れているのがわかる。

ちなみに最初のクレジットでピーター・フォンダの名前があって、「あれ、ピーター・フォンダも出てたっけ?」と思ったが、なぜかレースの参加者にその姿はない。
おかしいなと思って見ていたら、なんとクライマックスの乱闘のきっかけになる暴走族のリーダーで出てきて笑った。
70年代のサイケデリック映画の象徴的な俳優としてはまず納得のキャスティングといえるが、ジャッキー・チェンにカンフーでのされる以外に大した活躍がないというのはいかがなものか。

とにかくこの映画、不思議なくらいにカーアクションが少ない。
この時代、毎年のように何本もカーアクション映画が公開され、その度にキャッチコピーが“この映画では何秒ごとに車が壊れます!”とか“壊した車、何百台!”だとか、もう映画の中で壊した車の数で競い合っていたような時代なのに。
豪華キャストの出演料で制作費使い果たして、あまり車を壊せなかったんだろうか。

さて、肝心の、お目当てのジャッキー・チェンとマイケル・ホイだが、なぜか日本人役で、それなのにしゃべっているのは広東語。
かなりいい加減な役どころだが、ジャッキー・チェンらしさはそこそこ発揮されていて、少ないがギャグまじりのカンフーもあって、何もかもクソなこの映画の中で数少ない癒された要素だった。
そう、マイケル・ホイのリアクション芸もファンとして妙に嬉しい。

ちなみにジャッキー・チェンが車の中でアダルトビデオを見てマイケル・ホイに怒られるシーンがあるのだが、そこで見ている映画がマリリン・チェンバースの古典ポルノの傑作『グリーンドア』だと初めて知って驚いた。
どうでもいいが、よくポルノと芸術の境界線を越えた名作として『エマニュエル夫人』が話題に上るが、私はその栄冠は『グリーンドア』にこそ与えるべきだと思っている。

閑話休題。

本当にどこをどう切っても駄作にしかなっていないようなこの映画だが、豪華スターたちは実に活き活きと活躍している。
みんなそれぞれお家芸を立派に披露していて、そこだけ切り取ればそれなりに楽しい感じにはなっている。
逆にこれだけスターたちが頑張ってて、こんな出来にしかなっていないところがもう監督だか脚本家だか断頭台に送るべき所業じゃないか。

ダメ押しは最後のほうの「タンタンターン♩」
耳に残ってうざい。

しかしとにかくアイデアはおもしろいので、これこそリメイクすべき映画なんじゃなかろうか。
そういえば前に『ラットレース』って映画があったけど、あれなんかコメディ版キャノンボールって感じでおもしろかったな。

そういえばこの映画、パート3まであったよな。
続編はどんな出来なんだろう。
興味あるけどもう見る気にならない。

評価

評価の2つ星はジャッキーとマイケルに捧げています。
★★★★★

コメント

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