映画『ショーシャンクの空に』の感想 – スティーヴン・キングのあの原作がこんな映画になるなんてね!

ショーシャンクの空に
出典:amazon
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作品データ

原題:The Shawshank Redemption
監督:フランク・ダラボン
原作:スティーヴン・キング
脚本:フランク・ダラボン
出演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン、ボブ・ガントン、ウィリアム・サドラー、クランシー・ブラウン、ギル・ベローズ、ジェームズ・ホイットモア
音楽:トーマス・ニューマン
制作:1994年、アメリカ

あらすじ(ネタバレなし)

1947年、若くして銀行副頭取を務める優秀な銀行員アンディ・デュフレーンは、妻とその愛人を射殺した罪に問われ、ショーシャンク刑務所に服役する。

アンディは刑務所で、調達屋として活躍する囚人のレッドと知り合い、彼にロックハンマーを注文する。
それをきっかけに、アンディはレッドと交友を深めてゆく。

1949年、アンディは財務経理の知識を買われ、ノートン所長や刑務官たちの税務処理や資産運用を手伝うようになる。

ある日、ショーシャンク刑務所に、新たにコソ泥の青年トミーが入所してくる。

『ショーシャンクの空に』の感想

これぞ映像マジェスティック

映画を見るけっこう前に原作『刑務所のリタ・ヘイワース』を読んでいた。
実におもしろい小説だったが、キングの小説の中では軽く読めるタイプの小品、といった印象の作品だった。

その後、この小説が映画化されていることを知り、それがインターネットのレビューなどで「感動した」だの「涙が出た」だのと絶賛され、異常な高評価を獲得しているのを見て、「なんだなんだ?」と不思議に思い、見てみることにした。
あの原作はおもしろい小説ではあったが、どう考えてもそんな御大層な名作ができるような素材ではなかったはずだ。

ところがこれが、本当に素晴らしい感動の名作になっている。
ストーリーはまったく同じはずなのに、この格調高さはなんだろう。

ただおもしろいだけだった小説を、ほとんど目立った脚色をすることなく、俳優の演技と映像センスだけで感動させる映画にしてしまうなんて、これこそ究極の映像のマジックといわずしてなんだろか。

描かれるテーマと社会への影響のギャップについて

ドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』でもメインのテーマとして描かれていることだが、アメリカの刑法制度は先進国の中でもとにかく最悪の部類。

刑務所ゆーても、民間が運営しているものだから、そこは利益追求に走るし、クライアントは国家だから、中にいる囚人へのサービスを充実させる理由は何もない。

だから囚人を更生させ、社会復帰に向けて矯正する手助けに全くなっていない。
ただ社会的弱者を虐げるだけの機関に成り下がっている。

おまけに汚職や権力者の腐敗は最高レベル。

そんなアメリカの刑務所の中で、夢を抱くことの虚しさ、それでも挫けない人間の底力をこの映画はドラマチックに描いているのだ。

しかしこの映画が社会に良い影響を与える映画になっているのかというと、そこはちょっと疑問に思うところがあったりする。

私は最近こういう映画を見てしみじみ思うのだが、こういう映画は組織の腐敗を告発しているようで、虐げられた一般市民を想像の中でスカッとさせて、リアルな問題に向き合うための団結へのモチベを回避させるような効果にしかなっていないのではなかろうか。

その点、ドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』の解消されない問題を多く残すラストはまだ現実性があったというか、作品の姿勢としてだいぶ気骨があった気がする。

前回、『アイリッシュマン』のレビュー記事でも少しふれたが、最近、アメリカの映画は、その映画が描くテーマと、実際にその映画が社会に与える影響の質との間にギャップってものがあるなあ、と感じるようになってきた。

このギャップへの意識を高めることが、こういう芸術へのリテラシーを高めるキーワードになるんじゃないかと、つらつら思う今日このごろなのである。

評価

最後はまた映画の感想とは関係ない話しになってしまったが、とにかく面白くて感動する、素晴らしい映画です。
★★★★★

Good Movie 認定


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