ディズニー映画『眠れる森の美女』の感想 – 匠の至芸

ディズニー映画『眠れる森の美女』
出典:imdb
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作品データ

原題:Sleeping Beauty
監督:クライド・ジェロニミ(指揮)、ウォルフガング・ライザーマン(演出)、エリック・ラーソン(演出)、レス・クラーク(演出)
原作:シャルル・ペロー
製作:ウォルト・ディズニー、ロイ・O・ディズニー
脚本:アードマン・ペナー、ジョー・リナルディ、ウィンストン・ヒブラー、ビル・ピート、テッド・シアーズ、ラルフ・ライト、ミルト・バンタ
出演:メアリー・コスタ、ビル・シャーレイ、エレノア・オードリー、ヴェルナ・フェルトン、バーバラ・ジョー・アレン、バーバラ・ルディ、マービン・ミラー
音楽:ピョートル・チャイコフスキー、ジョージ・ブランズ(編曲)
制作:1959年、アメリカ

あらすじ(ネタバレなし)

ヨーロッパのある国で王女オーロラ姫が産まれた。
お祝いのセレモニーに3人の妖精がやってきて、オーロラに贈り物を与える。
1人目の妖精・フローラからは美しさが、2人目の妖精・フォーナからは歌の才能が贈られた。
ところがその場に悪い魔女マレフィセントが現れ、セレモニーに招待されなかったことを恨んでオーロラに「16歳の誕生日の日没までに糸車で指を刺して死ぬ」と呪いをかけてしまう。
まだ贈り物をしていなかった3人目の妖精・メリーウェザーは、マレフィセントの呪いに対抗するため、「死ぬのではなく眠るだけ。そして運命の相手からのキスで目覚める」という魔法をかけた。
そしてマレフィセントからオーロラを隠すため、3人の妖精たちはオーロラにブライア・ローズと仮の名前をつけ、森の奥の家で16歳の日没まで育てることにする。

そして16年の月日が流れ、オーロラは運命の日を迎える・・・。

『眠れる森の美女』の感想

もう、この記事は読む価値のない駄文である自信がある。

ディズニー映画のストーリーは私にとっていつも微妙なのだ。
微妙じゃなかった映画は『ラプンツェル』くらいか。

しかし多少おかしいところがあっても、そんな些細なことにいちいちこだわっていては損をするくらい、ディズニー映画は映像や音楽や人物の生き生きとした動きが楽しい。

この『眠れる森の美女』のアニメの精巧さはもう目を見張るばかり。
その画の細かさ、細部へのこだわり、本当に生きているとしか思えないキャラたちの動き、背景のリアル感など、まるで匠の至芸を見ているかのようだ。
これが1959年の制作だなんて一体なんの冗談かと思う。

怖い魔女の描写があざやかで、とくに16歳になったオーロラの部屋に魔女がやってきて呪いを実現させる場面の迫力はスゴかった。
間違いなくこの魔女マレフィセントがベストキャラクター。

音楽もいい。
私は観賞用の音楽としてはチャイコフスキーはあまり好きではないんだけど、こういうミュージカル映画の音楽にのせてみるとやっぱり最適なんだなあと思う。

そんな感じで、映像や音楽はお腹いっぱいだが、それでいて、ストーリーはおかしなところがいっぱいある。
おかずの要素が素晴らしくて、肝心のストーリーがヘンというのは、『アナと雪の女王』もそうだったが、ディズニー映画の定番なのかもしれない。

(この後にいよいよ駄文が続くのでどうか読まないでください)

↓ここから先はネタバレあり↓

ディズニー映画『眠れる森の美女』

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以下はヘンだと思ったところ。

まず、他国のお姫様の許嫁がいると知らされて育ってきたはずのフィリップが、わざわざ婚約の当日に安易にひと目惚れしてしまう自覚のなさがすごい。
将来、王位についても国を滅ぼすレベルの無責任ぷりである。
人間なんだからつい恋してしまうのは仕方ないことだが、ここはそれ相応の葛藤があって然るべきところだ。

妖精たちだって、魔女がわざわざ「16歳の誕生日の日没まで」と言っていたのに、その最終日の当日に魔法を使って喧嘩をしてボロを出し、さらに日没前に城に帰すという、いったい何をやってんだかわからんことをしている(それともあれは日没後のつもりだったのだろうか。かなり明るく見えたけれども)。
ナレーションで「The good fairies carried out their well-laid plan.(妖精たちは周到な計画を実行していた)」と最初に言っていたが、どの口が言ってんだか。

城に返すのは日没以降にしないとそれまで隠れてた意味がないし、ストーリー作方的にも、うかつに魔法を使ってボロを出してしまったミスがそれほど関係なかったように見えてしまう。
森の隠れ家でボロを出してしまったのなら、魔女が呪いを成就させにくるのはその場所でないといけないし、どうせ日没前に城に帰すなら最初から魔女は城で待ち伏せしていればよかったのだ。
このあたり、もうお話しが完全に破綻している。

さらに最後、妖精たちが、オーロラを生命の危険にさらすことになった(ストーリー上はそういうことになっている)喧嘩の続きを結婚式の最中にやりはじめる不謹慎さがびっくり。

ということで、最後は別の意味で笑えた。

まあ、あまりにも素晴らしい作品だったので、こうしてツッコミを入れて遊ぶしか書くことがないくらい、いい映画だった、ということだ。

評価

これまでディズニーのアニメをほとんど見てこなかったことが損していたと思うくらい、素晴らしかった。
★★★★★

Good Movie 認定


『眠れる森の美女(字幕版)』を見る
『眠れる森の美女 (吹替版)』を見る

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