ドラマ『愛なき森で叫べ: Deep Cut』の感想 – 冗談みたいに圧倒的なサギ師が美少女たちをザツに弄ぶヤバいお話し

愛なき森で叫べ: Deep Cut
出典:imdb
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作品データ

監督:園子温
脚本:園子温
出演:椎名桔平、満島真之介、日南響子、鎌滝えり、川村那月、でんでん
音楽:加藤賢二
制作:2020年、日本

あらすじ(ネタバレなし)

高校生の妙子と美津子とエイコは演劇部で『ロメオとジュリエット』の芝居を企画する。
ロミオ役がエイコ、ジュリエット役が美津子、演出が妙子に決まるが、エイコの事故死により、公演は中止に。

それから十年後。
連続射殺魔が世間を震撼させていた。

上京してきたばかりのシンは、知り合った友達のジェイたちに、妙子を紹介される。
妙子はエイコの事故死によって引きこもりになっていた美津子を紹介するが、美津子は詐欺師の村田に騙されていた。

シンはジェイたちと、村田を主人公のモデルに、彼が連続射殺魔の犯人だという設定で、自主映画を作ることになるが……。

『愛なき森で叫べ: Deep Cut』の感想

園子温監督のNetflixオリジナル映画『愛なき森で叫べ』のカットされていたシーンを追加してドラマ形式にしたもの。

映画版はまだ見ていなくて、こちらのドラマ版を先に見た。
もともとドラマとして企画された作品だというから、ドラマ版を先に見ても差し支えなかろう。

結果的にドラマ版を先に見てしまったことは良かったのか、悪かったのか、結論は最後まで置いておくことにして、とりあえず感想。

まずメインテーマを聴いて、大好きな戸川純の歌が効果的に使われていて、初っぱなからいい感じ。
これまでの園子温映画のモチーフが勢揃いで、『紀子の食卓』『冷たい熱帯魚』『地獄でなぜ悪い』『愛のむきだし』などで見たようなシーンやキャラクターがちらほら見受けられて、そこもかなり楽しかった。

とはいえ、そういうセンスが効いている要素はむしろ少なくて、ストーリー運びは基本的にいつもの園子温監督のノリ。

園子温監督作品のストーリー展開といえば、よく言えばナンセンス、悪く言えばヤケクソ。

ぶっちゃけるとザツ。

↓ここから先はネタバレあり↓

例えば村田のキャラとかも、かなり面白いが、人をたぶらかす才能もここまで圧倒的に描きすぎると冗談で映画を作っているようにしか見えない。

まあ、面白いことは面白いので、見ていける。

見ているうちにだんだんと、女性キャラが魅力的に見えてくる。
ちょうど園子温演出独特の味わいが女優さんの毛穴から滲み出てくる感じ。

とはいえ、演技でいちばん面白かったのはパンクになるとこ以外のでんでん。

ストーリー進行は無茶苦茶なようで、実はかなり計算されているようにも見える。

例えば美津子に処女を捨てさせ、創作の道に引きずり戻したかった妙子だが、その通りになってるのに、なんか違う、いや、どう考えても、これは違う。

見てる私たちも、気がついたら相当ヤバいお話しを見ている。

相当ヤバいお話しのヤバいところにまできてやっとそのヤバさに気がつくところなんか、計算して冗談みたいな作り方してたのかと勘ぐりたくなるくらい。

うん、なかなかいいかも。

そして最終話。

このドラマ、とにかくムチャクチャだったが、最後はどんでん返しがあって、なぜかぜんぶ辻褄があってしまって、落ちるところに落ちる。

このストーリーが実話からインスピレーションを受けただなんて、天才的に自由すぎる。

映画版は見てないが、このドラマ版でじゅうぶん、飽きなかったし、無駄なシーンは無かったと思えたので、岩井俊二監督の『リップヴァンウィンクルの花嫁』みたいに編集でストーリーのニュアンスを変えていない限り、映画版を先に見るメリットは無かろうと思う。

でも、そのうち映画版も見てみよう。

評価

最近の園子温監督の作品の中ではかなり面白い方だったですよ。
★★★★

Good Movie 認定

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