映画『マダム・イン・ニューヨーク』シュリデヴィが新境地で大復活

マダム・イン・ニューヨーク
出典:imdb
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作品データ

原題:English Vinglish
監督:ガウリ・シンデー
脚本:ガウリ・シンデー
出演:シュリデヴィ、メーディ・ネブー、プリヤ・アーナンド、アディル・フセイン、アミターブ・バッチャン
制作:2012年、インド

あらすじ(ネタバレなし)

シャシはお菓子作りが得意な良妻賢母。しかし英語が苦手なことを娘にもバカにされ、コンプレックスを抱いている。そんなある日、ニューヨーク在住の姉から、娘のミーラが結婚するので準備を手伝ってほしいと連絡があり、しばらくニューヨークで暮らすことになった。シャシはニューヨークで英語がしゃべれないことで恥をかき、たまたま目に入った英語教室に家族には内緒で通いはじめる。

『マダム・イン・ニューヨーク』の感想

インド人の奥さん(名前はシャシ)が、姪の結婚式でニューヨークに数週間滞在することになり、英語がわからなくて苦労したり悔しい思いをしたりして一念発起、英語教室に通ってそこで出会った素敵な仲間とともに英語以上の大切なものを育んでゆく、というお話し。

ほのぼのさせてくれて、最後は必ず笑顔になれるいい映画。

なんだけど、残念なのは映画としてはかなり出来が悪い。
最初の数分で演出がクサいことに気がついて、これはまずいぞと思った。
見ていくと、期待(?)以上にダメなシーンが連続する。

とくに恋愛エピソード。
英語教室でフランス人の青年がシャシに恋してしまうのだが、人妻だとわかってここまであからさまにモーションかけるのはモラル的に完全にアウト。
儚く叶わぬ想いを超えちゃっている。

いけないとわかっていても、つい恋する気持ちをおさえきれず……みたいな演出はできないはず無いし、これまで見た映画でそういう演出をうまくやっていた例はたくさん見てきた。
この映画は明らかにヘタなのだ。

他にも演出のヘタさでダメになってしまっているところは数え切れないほどある(コーヒーショップの店員や客が不自然に冷たいところとか)。

それでもこの映画が少なからず私の心を明るくさせてくれて、笑顔で見終わらせてくれたのは、シャシを演ずる主演のシュリデヴィの好演によるところが大きい。

シュリデヴィといえば、思い出すのがインド映画『Mr. India』のヒロイン役。
彼女の『ハワ・ハワイ』と踊るミュージカルシーンなど、DVDで100回は見た。

このミュージカルシーンである(とくに後半部分が可愛い!)。

確かこれってシュリデヴィのいちばん有名なミュージカルシーンだよね。
『Mr. India』は1987年制作だから、この頃はまだ24歳くらいかあ。

『マダム・イン・ニューヨーク』でシュリデヴィを十数年ぶりに見たが、なんとまあ、可愛いおばさんになっていたのだな。
ぱっちりしたお目目とか、口元とか、演技をするたびに若い頃のチャーミングさがふわっと浮かんでくる。
これで49歳というから驚き。

そういえばこういった王道のインド映画らしくない、“普通の映画”タイプのインド映画としては、こないだ『ピクー』というインド映画を見たけど、あれもあまりいい出来とは言えなかったが、主演のディーピカー・パードゥコーンの好演でそれなりに最後まで飽きずに見れた。

インド映画はやっぱりスターが主演でミュージカルシーンやアクションなどあらゆるジャンルを詰め込んだ王道タイプが美味しくて、こういう普通の映画っぽいのはまだあまり出来のいいのが少ない。

インド制作の普通の映画の先駆けとなった2005年の『BLACK』なんかも、私はまったくおもしろくなかった。

ちなみに今、言及した『BLACK』と『ピクー』、そしてこの『マダム・イン・ニューヨーク』、すべてにアミタブ・バッチャンが出ているな。
やはりインド映画を世界標準で受け入れられるものに発展させてゆくにあたり、名優アミタブ・バッチャンの存在感は重要なポイントなのかもしれない。

そう、アミタブ・バッチャンが出ているシーン、めちゃくちゃよかった。
飛行機の中でシャシの隣の席に座るおじさんを演じているのだが、たった1シーンのみの出演ながら、おかしくてほっこりさせられるハートフルなやり取りを見せてくれる。

最後のシャシのスピーチはそれまでのストーリーをすべてちゃんと踏まえた上で、本当にいいことを言っていて、感動する。

最後に、2018年2月24日にお亡くなりになったシュリデヴィさんのご冥福を心からお祈りいたします(涙)

評価

出来はあまり良くないけど、いい映画。
★★★★★

Good Movie 認定


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