インド映画『バーフバリ2 王の凱旋』が魅せたはかり知れないモノとは

バーフバリ 王の凱旋
出典:imdb
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作品データ

原題:Baahubali 2 : The Conclusion
監督:S・S・ラージャマウリ
脚本:S・S・ラージャマウリ、K・V・ヴィジャエーンドラ・プラサード
出演:プラバース、ラーナー・ダッグバーティ、アヌシュカ・シェッティ、サティヤラージ、ラムヤ・クリシュナ
制作:2017年、インド

あらすじ(ネタバレなし)

遥か遠い昔、インドに栄えたマヒシュマティ王国。カーラケーヤとの戦争に勝利を収め、国母シヴァガミから王位継承を託されたアマレンドラ・バーフバリは、自ら治めることになる国を視察するために、信頼する忠臣カッタッパと共に身分を隠し、旅に出る。その旅でバーフバリはクンタナ王国の王の妹デーヴァセーナと恋に落ちるが、王位継承争いに敗れたバラーラデーヴァは、バーフバリとデーヴァセーナの仲を裂き、バーフバリを王座から引き降ろすべく邪悪な策略を巡らしていた。

『バーフバリ2 王の凱旋』の感想

これは『バーフバリ 伝説誕生』という映画のパート2とのことだが、実はパート1は見ていない。
パート1を先に見た方がいいとは思うのだが、Netflixにこちらしかあがっていないのだから仕方がない。
これしかないということは、これを先に見てもストーリーはちゃんと通じる、ということだ、きっと。

日本で公開されるインド映画といえばボリウッドがほとんどで、たまにタミル映画が公開される程度。
私もボリウッドとタミル以外のインド映画は見たことがなかった。
実にこれが初めて見るテルグ語で作られたインド映画になるのだ。

そう思って楽しみに再生したら、なんと俳優がヒンディー語をしゃべり始めてガックリきた。
ヒンディー語の吹き替え版なのね。

ヒンディー語をしゃべているのに、ボリウッドスターがひとりも出てこないところに見ていてひどく違和感を覚えた。
最後までこの違和感は残った。

とはいえ、映画はスゴかった!
おもしろかった。

バーフバリ 王の凱旋

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まず、今までに見たことのないような映像美。
白馬の雲の谷間を走る白鳥の帆船とか、ファンタジーの域を超えていて、なんだか神々しい天上世界をまのあたりにしているかのようだ。

また、なんだか人知を超えた壮大なスペクタクル。
巨大という言葉でもまだ足りない大建造物に、奇想天外なメカやテクノロジーの数々。
特にクライマックスの、盾を持った兵士たちが“空飛ぶ金属のボール”になって城壁を超えてゆく戦闘シーンには仰天した。

↓ここから先はネタバレあり↓

バーフバリ 王の凱旋

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主人公のスーパーヒーローぶりもスゴイ。
この主人公が、クライマックス直前でなんと死んでしまうのだ。
インド映画は途中で主人公が死んで、後半からその息子が主役になるとか、その生まれ変わりが主役になるとか、よくあるパターンではあるのだが、よくあるとは言っても1割もないわけだし、基本的には主人公は死なないと思って見ているから、そのスーパー超人ぶりも相まって、やっぱりビックリさせられた。

それにしても、主人公が死んでからいきなり25年後に話しが飛んで、その息子のお話しになるのだが、その間のつながりがイマイチよくわからなかったので、この映画を見た後、一応パート1である『バーフバリ 伝説誕生』のダイジェストを見てみた。

そしたらなるほど、この『王の凱旋』は『伝説誕生』の続編なんじゃなくて、『伝説誕生』に至るまでの過程を描いたものだったのだな。
そしてさらに、『伝説誕生』で描かれなかった真のクライマックスがやっとこの『王の凱旋』で見れる、ということだったのだな。
なるほど、構成もおもしろいね。

この映画のキモはやはりド迫力のスペクタクルCGで描かれるアクションの数々なのだが、しかし、である。

この映画、ただ派手な見た目だけで魅せるだけのハリウッド映画とは本質が違うのだ。
その背後にある精神性が立派なのである。

バーフバリ 王の凱旋

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例えば主人公のバーフバリは、お姫様に恋するも、王である身分を隠し、あくまでも人間としての魅力でその心を手に入れようとする。
その母も側近も、あくまでも伝統に忠実であろうとすることで、権威を守ろうとする高潔さがある。
人間の気高き精神性のようなものが随所にしっかり描き込まれているのだ。

そんな感じで見ていって、ラストのナレーションで「シヴァ神の御心は、はかり知れんよ」という一言を聞き、私の頭の中ですべての点がひとつに繋がった。

これは“はかり知れないもの”を表現した映画なのだ。

思い出すのが、バーフバリが愛するデーヴァセーナとの約束を守るため、自ら玉座を降りるシーン。
民衆の歓声で巨大な宮殿が揺れるその様は、まるで神が怒っているかのようだったではないか。

神の御心、潔い人間の信念、先祖から受け継がれてきた大いなる伝統。
それら「はかり知れないもの」を、映像の迫力で表現している、みたいな。

映像と内容が一致しているね。
お見事。

『伝説誕生』を見るのが楽しみだ。
(でもダイジェスト見ちゃったから、しばらく間を置いて見よっと)

評価

足りん。こんな感想文じゃ、ぜんぜん足りない。足りてたまるか。
★★★★★

Good Movie 認定


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