作品データ
原題:Pacific Rim: Uprising
監督:スティーヴン・S・デナイト
原案:スティーヴン・S・デナイト、T・S・ノーリン
脚本:エミリー・カーマイケル、キラ・スナイダー、スティーヴン・S・デナイト、T・S・ノーリン
製作:ギレルモ・デル・トロ
出演:ジョン・ボイエガ、スコット・イーストウッド、ジン・ティエン、ケイリー・スピーニー、菊地凛子、バーン・ゴーマン、アドリア・アルホナ、マックス・チャン、チャーリー・デイ
音楽:ローン・バルフ
制作:2018年、アメリカ
あらすじ(ネタバレなし)
前作から10年。
PPDC(環太平洋防衛軍)は怪獣の再来に備え、新世代のイェーガーを開発し、若いパイロットたちを訓練していた。
ペントコスト司令官の息子ジェイクは優秀なパイロットだったが、現在は軍を除隊して違法転売行為に手を染めていた。
そんなある日、ジェイクは戦地から集めたパーツで小型の一人乗りイェーガーを自作している孤児の少女アマーラと出会う。
右余曲折を経て逮捕されたジェイクとアマーラは、PPDC事務総長のマコの取り計らいで軍に入隊する。
時を同じくして中国企業、シャオ産業の女社長リーウェンは、元PPDC研究員ニュートン博士の協力で、新型の無人ドローン・イェーガーの開発を急ピッチで進めていた。
PPDCはシャオ産業のドローン・イェーガーを採用するかどうかの会議をオーストラリア、シドニーで開こうとするが、その会議に突如、所属不明の漆黒のイェーガーが襲撃する。
『パシフィック・リム:アップライジング』の感想
かの『パシフィック・リム』のパート2である。
めたくそ評判悪かったので期待してなかったが、意外や意外、おもしろかった。
なんの問題もない。パート1と同じくらい好きだ。
これのどこが悪いのだ。不思議。
オリジナルよりも良くなっている点
むしろよくなっているところもあった。
パート1は大好きな映画だが、数少ない不満だった点が、イェーガーや怪獣の動きに若干の不自然なところがあったこと。
ところがこのパート2では、それがまったく無かった。
確かにパート1と比べるとやや軽くなっている感じはするのだが、私には総合的に動きが自然に見えた。
おそらくパート1は、やたら巨大で重々しい感じを強調しすぎて、たまに素早く動く部分が不自然に目に映ったのだと思う。
ところがこのパート2では、スピードにちゃんと統一感があるのだ。
パート1の重々しさがないのにもかかわらず、動きに不自然なところが感じられないのは、恐らくそれが理由だと思う。
↓ここから先はネタバレあり↓
オリジナルとの変化で新鮮な楽しさを盛り上げる創意工夫について
今回はイェーガー同士の戦いもあったりして、これはもうパート2の定番サービスとして素直に楽しかった。
ストーリーが、今回は怪獣は出てこないのかな、と思わせといて、やっと後半になってドドっと怪獣登場、とくるストーリー構成の妙がいい感じ。
中国製の無人イェーガーがモロ、エヴァ量産機を意識したデザインで、オタクへのサービス精神も忘れていない。
最後まで宇宙人が出てこないところもオリジナルと違った感じがしてよかった。
【妄想1】今回は中国企業が敵? – 裏に隠れたメッセージ
途中で「今回は中国企業が敵か?」と思う展開が一瞬だけある(中国企業が開発したイェーガーが暴走する)。
ここに私は「中国は今の世界にとって怪物みたいなものだ」というメッセージ性の片鱗を感じた。
しかしそれをやったら中国の半支配下にある今のハリウッドではまずいので、そっちの方向に行きそうな部分をチラッと見せるだけで、後半は中国大讃美の展開になる。
なんとなく「これでわかってくれよ」とこの制作者は言っている気がした。
まあ、ここは私の妄想だと思って話半分に読んでくれたらと思う。
私のブログのこの部分を『パシフィック・リム:アップライジング』のアメリカ人スタッフが読んで、「おいおい、人聞きの悪いこと言わないでくれよ」と困るのか、「ちゃんとわかってくれる人っているんだなあ」と心の中で涙を流すのかは、アナタの想像次第である。
【妄想2】怪獣が街にやってきた、それにガンダムが応戦!
クライマックスは日本が舞台。
怪獣たちが富士山目指して東京を大攻撃する。
ここはあれだ、有名人が町にやってきた田舎者のメンタリティで、「やあ怪獣が日本にやってきたぞ」と、怪獣が東京のビルを破壊して逃げ惑う同胞の姿を見てなぜか喜ぶ私がいる。
不謹慎だが、怪獣映画が好きなんだ文句あるか。
しかもガンダム!!!
このカットが伏線になって、あとでこのガンダムが「実は秘密兵器でした」とか言って、動き出してくれたらかなりスゴかったな。
しかし出てくるのは、最初はいけすかなかった中国人の女社長が小型イェーガーに乗って加勢するという。
「ここにはアナタの想像でさっきのガンダムを当てはめて見てください」と、またもや制作者の声が幻聴のようにきこえてきた。
一番オイシイところを最後に持ってくる賢さについて
クライマックスの戦いは怪獣との対戦で傷ついた主人公の相方のかわりに、本編のヒロインだった女の子が即席でドリフトの片割れになるというワクワクする展開。
そういえば、オリジナルで一番好きだったシーンが中盤の、ローリーとマコがついにドリフトに成功し、怪獣を倒すところ。
今回の続編では、あの感動をクライマックスにもってきたというわけだ。
ここもかなりポイント高い。
またヒロインのこの女の子がここ一番てところでいい演技とリアクションをするんだこれが。
ダメ押しは最後のセリフ「今度はこちらから行く」。
続編作る気満々のラストでここまで好感もてるケースはなにげに珍しいかもしれない。
欠点は少しだけあったけど、パート3にも期待大!
というわけでかなり気に入った『パシフィック・リム』の続編。
問題点をひとつだけあげると、オリジナルのあのカッコいい音楽がクソなアレンジを抜かして一度もかからなかったこと。
あとマコが死ぬのは残念。
それをやるんなら、成長した芦田愛菜がイェーガーに乗るくらいの代替サービスがほしかったな。
それ以外は完璧。
文句なし。
評価
もう絶対3作目ってお願い。
監督は別にこの人でもいいよ。
★★★★★
パシフィック・リム/アップライジング(字幕版)』を見る
『パシフィック・リム/アップライジング(吹替版)』を見る
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