映画『パシフィック・リム』の感想 – 作ってくれて、ありがとう

パシフィック・リム
出典:imdb
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作品データ

原題:Pacific Rim
監督:ギレルモ・デル・トロ
原案:トラヴィス・ビーチャム
脚本:トラヴィス・ビーチャム、ギレルモ・デル・トロ
出演:チャーリー・ハナム、菊地凛子、イドリス・エルバ、チャーリー・デイ、バーン・ゴーマン、クリフトン・コリンズ・Jr、ロバート・カジンスキー、マックス・マーティーニ、ロン・パールマン、芦田愛菜
音楽:ラミン・ジャヴァディ
制作:2013年、アメリカ

あらすじ(ネタバレなし)

海の底が割れて、そこから怪獣が出てきて世界各地を襲いはじめた。
人類は「イェーガー」と呼ばれる巨大ロボットを作って、怪獣と戦う。
しかし怪獣がやってくる頻度は高くなる一方。人類は劣勢に追いやられる。
人類は残ったイェーガーを香港一箇所に集め、怪獣との最終決戦に挑む。

『パシフィック・リム』の感想

映画にはたまに、その製作者の“気持ち”を受け止めてこそ、いい映画になる、という作品がある。
これはまさにそんな作品だ。

子供の頃から日本の怪獣映画が好きで、その好きなモノへの想いをハリウッドの超メジャー大作映画で形にすることができた。
その製作者の幸福が、そのままそれを見て楽しむ観客の幸福へと繋がってゆく。
そんな素晴らしい幸福の連鎖(ドリフト)がここにあった。
(DVD特典の監督コメンタリーを聴くと、その日本の怪獣・特撮映画へのマニアぶりに驚く)

そう、この映画のテーマは「ドリフト」という技術にすべて集約されている。
2人の人間が、または大勢の人間が、つながって心をひとつにして、危機や栄光を共有し、失った命も記憶とともに精神(こころ)に刻み付けてゆくという、そういうドラマなんだと思った。

この映画でもっとも好きなのは、ローリーとマコがついにドリフトに成功し、初めて怪獣を倒すところ。
それまでローリーの片割れ候補に選抜さえされず、やっと念願叶ってもドリフトに失敗し、それらの挫折を経ての活躍だからこそ、このアクションシーンが際立つのだ。
もちろん巨大ロボットと怪獣がぶつかり合うスペクタクルもいいが、その合間に挿入されるローリーとマコのショットが実に感慨深い。

設定に関してはちょっと凝りすぎの感はあるが、世界は滅亡寸前のところまできていて、わずかに残された最強のイエーガーが世界中から香港一箇所に集められ、最終決戦に臨むという、最初からクライマックス的なシチュエーションはなかなかうまい。

願わくば、中国のクリムゾン・タイフーンとロシアのチェルノ・アルファ、それから日本のコヨーテ・タンゴの活躍をもっと増やしてほしかった。
残念ながら、一番露出の多いジプシー・デンジャーとストライカーのデザインは、先にあげた3体と比べると今ひとつ半くらい落ちる。

ちなみに、ひとしきり肉弾戦をくりひろげたあとで、プラズマ砲とかチェーンソードを出すという、「最初からスペシウム光線を出せば早いのに」と子供の頃によくツッコミを入れたような、今にしてはアナクロなお約束があるところが嬉しいような、歯がゆいような、でもやっぱり嬉しい。
(追記:後で聞いた話しでは、プラズマ砲は至近距離からしか撃てないので、人型のロボット兵器でいったん戦う必要がある、という、ちゃんとした設定があるのだそうだ)

最後に、吹き替え版で「Elbow rocket!」を「ロケット・パーンチ!!」と言わせた訳者に心から拍手を送りたい。
一瞬、涙で画面が見えなくなった。

パシフィック・リム

出典:amazon

評価

心をひとつにする方法は、ATフィールドを解き放つばかりじゃなかったんだな。
★★★★

Good Movie 認定


『パシフィック・リム(字幕版)』を見る
『パシフィック・リム(吹替版)』を見る

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