映画『ノーカントリー』の感想 – おいぼれには2回見ないとダメな映画

コーエン兄弟の映画『ノーカントリー』のポスター
出典:imdb
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作品データ

原題:No Country for Old Men
監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
原作:コーマック・マッカーシー
脚本:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出演:トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン
音楽:カーター・バーウェル
制作:2007年、アメリカ

あらすじ(ネタバレなし)

1980年メキシコ国境付近のテキサス。

プロングホーンを撃ちにきたモスは、偶然、殺人現場に遭遇する。
その少し離れた木陰で、札束の詰まったブリーフケースを発見し、持ち帰る。

ギャングに金の捜索を依頼された犯罪者のシガーは、依頼者を殺害し、ひとりモスを追う。

『ノーカントリー』の感想

この映画は公開当時に映画館に見にいったのだが、いまいちよくわからなかったおぼえがある。

しかしこうして改めてじっくり見直してみると、コーエン兄弟の作品の中でも『ファーゴ』『ミラーズ・クロッシング』と並ぶ最高傑作と言っても過言ではない、なかなかの面白さ。

ドラマ版『ファーゴ』シーズン1にインスパイアを与えた名シーンが数多くあることも再認識した。

この映画のシブいところは、一般的な映画の公式(定番の文脈と言い換えてもいい)をいっさい無視して作ってあるところ。

ずっと前にタランティーノの『ジャッキー・ブラウン』を見たときに、これは映画の公式をいっさい無視して作った映画だ、と思ったことがある。

しかし、この『ノーカントリー』と比べたら、『ジャッキー・ブラウン』はまだまだ、だいぶカッコよく作ってあったなあ。

だからこそ、この映画は2回見ないとダメなのだ。

われわれは無意識に、これまでの見てきた数々の映画の記憶が肌にしみついているから、無意識に定番の文脈と照らし合わせながらストーリーを追ってしまう。

1回目の鑑賞でそのことごとくが頭の中からこそぎ落とされ、改めてまっさらになった感性で2回目の鑑賞を楽しみたい。

これはそんな映画なのだだ。

原題は『No Country for Old Men(年寄りが住みやすい国なんてありはしない)』。
パラフレーズすると「おいぼれには住みにくい国になっちまった」と言ったところだろうか。
凶悪な殺人事件を担当したベル保安官のぼやきに似たタイトル。

世の中なんてこの映画のように、起きている出来事の下部構造には何もありはしない。
吹き荒ぶ荒野のように、無常の法則が支配している、ということなのかもしれない。

真夜中の荒野ギャングに追われて走るモスの前方はるか遠くで雷が轟くショットには言葉にならないセンスを感じた。

コーエン兄弟の映画『ノーカントリー』のポスター

出典:amazon

評価

深読みすれば切りはないが、何を言ってもおいぼれのぼやきにしか聞こえないのだろう。
★★★★★

Good Movie 認定


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