作品データ
監督:山川吉樹
原作:押切蓮介
脚本:浦畑達彦、冨田頼子、イシノアツオ
出演:天﨑滉平、鈴代紗弓、広瀬ゆうき、新井里美、チョー、伊藤静、赤﨑千夏、安元洋貴
音楽:下村陽子
制作:2019年、日本
あらすじ(ネタバレなし)
ハルオは渋谷のゲーセンに入り浸る。
そんなハルオを、大野晶は静かに追いかける。
しかし小春も負けてはいられない。
『ハイスコアガール』第2期の感想
第1期の一応の決着めいたラストから、じょじょにじわじわと、あまずっぱい三角関係の物語がぶりかえしてゆく。
このドラマのいいところは、ダブルヒロインがふたりとも魅力的で、どちらも応援したくなることだ。
メインの大野晶を応援したくなるのはもちろん、それでいて小春がぜんぜん邪魔にもみえない。
前にも言ったようにゲームに興味がない人にもオススメだが、三角関係が苦手な人にもオススメだ。
キャラクター構成が奇跡のバランス。
奇跡といえば・・・いいや、これは最後に言おう。
他のキャラクターたちもみんな個性的で素敵な人たちばかり。
毎回、身悶えしたくなるような展開があって、ストーリーから目が離せない。
過去5年くらいの私が見た連続もののアニメではダントツの最高傑作。
というわけで、もうこのアニメの感想はこれで終わり!
* * *
ここから先はちょっと考察というか、ふと思ったこと。
↓ここから先はネタバレあり↓

出典:amazon
第2期に入って、ひとつ気がついた大きなポイントがあった。
第1期から「ヒロインの大野晶はいったいいつになったらしゃべるんだろう? このまま最後までセリフ無しのままなのかな」と思いながら見ていた。
しかし第2期の最初(ROUND 16)を見ていて、「あっ」と思ったくだりがあった。
ハルオが家に帰ってくると、大野晶とその姉の真が来てきていて、ハルオの母もまじえて3人で「オゲレツしりとり」をやっている。
もちろんのことだが、しりとりはしゃべらないと出来ない。
大野晶は「しゃべらないキャラ」なんじゃなくて、ちゃんと画面に写っていないところではしゃべっているのだ。
つまり晶は単に無口なだけで、たまたまカメラが写しているところではしゃべっていなかった、という設定だったのである。
考えてみたら当たり前だよな。
この、「大野晶は実はしゃべっていた」というモチーフが、後になってからまた別の輝きをもって私の感性を襲ってくることになるとは、この段階ではまだ私には知るよしもなかった。
ROUND 20 で、大野晶が小春にゲームで勝負を挑むシーンがある。
黙々とレバーとボタンを操作する大野晶と、ひっきりなしに心の声でモノローグを呟く小春。
このあたりの小春のセリフが超絶にカッコいいのだ。
例えばこんな感じ。
わたしは悪魔にだってなれる。卑怯だと思う?
勝ちに貪欲なわたしを軽蔑する?でも、わたしみたいな凡人があなたに勝つにはこうするしかない。
だからわたしはずっと斬空波動拳を打ち続ける!
一生、打ち続ける!
防戦一方に追い込む。
防御しかさせない。
まともに当たらなくていい。削り殺す!
この壁をどう乗り切る、大野さん?
神髄を見せて!
小春役の声優の広瀬ゆうきさんの気合の入り方が違うのがわかる。
そして、ふと思った。
そうか、大野晶はしゃべらないけど、ゲームで対話をする子なんだ。
「いつしゃべるのか」だって?
とっくにしゃべってたんじゃんかよ!
さっき書いた、ROUND 16 の「オゲレツしりとり」で気がついた「大野晶は実はしゃべっていた」という何気ないモチーフが、こうして後の後になって、もっと深い意味合いをともなって私の感性を襲った瞬間であった。

勝負をする大野晶と小春(出典:imdb)
そして最終話。
ハルオが小春とひさしぶりに会うシーンで、小春が大野晶とゲームで対戦したときのことを語るのだが、そこで大野晶がゲームを通して小春に伝えたさらなる詳細な「解読」が、小春の口から説明される。
3回戦目での戦いは、矢口くんへの気持ちを捨て切れないでいたわたしに引導を渡すことを躊躇していた。あの対戦で、大野さんの想いは痛いほど伝わってきた。あのときの大野さんの表情。試合には勝ったけど、勝負には負けたって思ったよ。そんなの、そんなの感じちゃったら、もう引き下がるしかないじゃん。わたしみたいなお邪魔虫。
あの「斬空波動拳を一生、打ち続ける」と言っていた小春が、大野晶の「言葉」を受け取り、そして身を引く決断をしたのである。
まるでパズルのピースがピタッとそろったようだった。
このシーンの小春の身の振り方は眩しいほど潔い。
ハルオは、晶が託した思いを見事に誤読していて、すっかり諦める面持ちでいた。
つまりここは小春がハルオをモノにする千載一遇のチャンスだったのだ。
しかしもちろん、我らが愛すべきキャラクターたちは、そんな姑息な考えを頭によぎらせることさえ無い。
小春に本当の晶の気持ちを教えられ、ハルオは晶に会うため、もう飛行機の出発時間に間に合わないと思われる中、全力で空港までかけつける。
そんなハルオを、ゲームのキャラクターたちが奇跡を起こして助けるのだ。
これまで私は、ハルオのそばに現れるガイルの幻影は、ハルオが心の中でつくりだした幻想だと思っていた。
しかし実は彼らは、ハルオを守護していたゲームの神様の化身だったのではなかろうか。
メロドラマを盛り上げる役割に埋没して目立たないが、ここはもうひとつの壮大なオチだと思った。
評価
最後の最後まで裏切らない、名作でした。
★★★★★

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