作品データ
原題: Nope
監督: ジョーダン・ピール
脚本: ジョーダン・ピール
出演: ダニエル・カルーヤ、キキ・パーマー、スティーヴン・ユァン、ブランドン・ペレア、マイケル・ウィンコット
音楽: マイケル・エイベルズ
制作: 2022年、アメリカ
あらすじ(ネタバレなし)
カリフォルニアの牧場で馬の調教業を営む兄妹OJとエメラルドは、父の突然の死の後、空に現れる謎の飛行物体の存在に気づく。
やがてそれが人や動物を吸い込む危険な存在だと知った二人は、その決定的瞬間を撮影して一攫千金を狙おうとする。
しかし正体不明の存在は想像以上に恐ろしく、彼らは命懸けの対決に挑むことになる。
『NOPE/ノープ』の感想
私も好きで一時期YouTubeでよく見ていたアメリカのお笑い芸人コンビ“キー&ピール”の片割れである、ジョーダン・ピールの監督作品。
ピールが最近、映画監督業に乗り出して、ずいぶん変わった映画を撮っていることは噂に聞いていた。
そんなピールが撮った話題作がこの『NOPE/ノープ』である。
内容は、エヴァンゲリオンの使徒みたいな怪異が人を襲う、ホラー映画。
怪異が生物なのか、何なのか、わけがわからないところとか、物語の途中みたいなところからお話しが始まっているところとか、どうも実際にエヴァンゲリオンに影響を受けているっぽい。
音楽の使い方が『アキラ』や『攻殻機動隊』っぽくて、やっぱりこの監督は90年代の日本のアニメに影響を受けてる気がする。
前作の『アス』もそんな感じだったし。
タイトルの「NOPE」とは、「そりゃダメだ」とか「そいつはあかん」とか「いやいやいやいや、ないわ」みたいな強い否定を意味する英単語。
怪異のことを指しているのだろうか、映画の中で怪異は「ゴースト」と呼ばれたり「UFO」と呼ばれたり、とにかく最後まで何だかわからない。
が、しかし、この映画が超モヤモヤ映画になっているのは決して怪異の謎さによるものではなかったりする。
エヴァの影響が濃厚なだけに、ストーリー展開も他の映画とはちょっと違った謎めいた切り口を目指しているのはわかるのだが、それにしてはどうも従来のホラー映画の文脈を完全に脱しきれていないのだ。
主人公たちの目的は怪異を倒すことではなく、その様子を映像におさめてSNSでバズることが目的だったりするのだが、結局、最後は定番の攻防で怪異をやっつける展開になる。
冒頭でチンパンジーが撮影中に凶暴化して人を襲うのを目撃してしまうという、主人公の子供時代のトラウマ体験が描かれ、それが後の怪異とのやりとりにリンクするところも、いまいち深いものを感じない。
以前に見た『シンクロナイズドモンスター』という映画もそうだったが、アメリカ映画は所詮はアメリカ映画なのだ。
特に最後の怪異をやっつける過程なんて、普通のホラー映画のクライマックスと何ら変わりがなかった。
そう考えると、コーエン兄弟の『ノーカントリー』は素晴らしい映画だったなあ。
完全に定番のアメリカ映画の文脈をめちゃくちゃカッコいいスタイルでぶっ壊していた。
映画監督の才能が無いというわけじゃなけれど、斬新な映画を常に探している私としては、結局、普通の映画を撮っちゃうくらいなら、やっぱりジョーダン・ピールはお笑い芸人をやっててくれた方がいいかもしれない。
評価
斬新なことをやろうとしているその心意気は認めたい。
★★★★★



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