作品データ
原題:快餐車
監督:サモ・ハン・キンポー
脚本:エドワード・タン、ジョニー・リー
出演:ジャッキー・チェン、ユン・ピョウ、サモ・ハン・キンポー、ベニー・ユキーデ、ローラ・フォルネル
音楽:キース・モリソン(日本版のみ)
制作:1984年、香港
あらすじ(ネタバレなし)
スペインのバルセロナ。パン屋の2階に下宿するカンフーの達人トーマスといとこのデヴィッドは、街の公園広場に移動販売車”スパルタン号”を停めファーストフード店を営んでいた。そんな2人のもとにある日、怪しい男たちに追われる謎の美人娼婦シルヴィアが助けを求めて逃げ込んでくる。実はシルヴィアは伯爵の娘で、彼女の遺産を狙う伯爵の弟に狙われているのだった。度重なる激しい襲撃にあい、ついにシルヴィアはさらわれてしまう。2人は友人のヘボ探偵モビーの手を借り、彼女を助けるため、最強の戦闘集団と壮絶な肉弾戦を繰り広げる。
『スパルタンX』の感想
高校のときに熱狂したジャッキー・チェンの、当時「これが最高傑作だ!」と思わず歓喜をあげた作品。
今回、25年ぶりくらいに見てみたのだが、いやー、やっぱりイイね。
アクションが、他のジャッキー・チェンの映画と比べてシャープな魅力がある。
クライマックスのジャッキーとベニー・ユキーデの試合(そう、試合)はジャッキー映画史上ベストバウト。
今にしてみると、打撃にグラウンドまじえての攻防は総合格闘技っぽくて、実に新鮮。
これが制作された1984年はまだ「総合格闘技」なんて言葉はなくて、それっぽい試合は「異種格闘技戦」と呼ばれていた。
UWFはギリギリ立ち上がっていないし、UFCやPRIDEはまだ遠い未来の彼方だ。
そう考えるとつくづく先駆的な格闘シーンだったんだなあ、と思う。
一方アクション以外の部分はちょっと退屈。
私は個人的にサモハンのユーモアセンスはくどくてあまり好きではないのだ。
ヒロインが手グセの悪い娼婦という設定もなんだか古臭い。
しかしそんな瑣末な欠点など、どうってことない。
私の感性はたまに、とくに好きな映画に限って、欠点は自動的に「無かったことにする」機能が働くのだ。
ちなみにこの映画は言語によって複数のバージョンが存在し、それぞれかなり印象が違う。
というのも、広東語版は「スパルタンXといえばあの音楽!」が流れないし、西洋人までが広東語をしゃべるので気持ち悪い(これは他のジャッキー映画や香港映画でもたびたび感じることなんだけれども)。
一方、日本語吹き替え版は、当時流行った広川太一郎節をマネしたみたいな、つまらないアドリブがやたら多くてうんざりさせられる。
やはりこの映画はあの名曲が流れて、しゃべりも比較的違和感のない英語版で見るのが一番正解。
評価
『プロジェクトA』より私はこの映画のほうが好きだ。
★★★★★
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