作品データ
原題:Plan coeur (saison 2)
監督:ノエミ・セリオ、ルノー・ベルトラン
脚本:エミ・セリオ、ジュリアン・テセール、他
出演:ジタ・アンロ、マルク・ルシュマン、サブリナ・ウアザニ、ジョセフィーヌ・ドライ
制作:2019年、フランス
あらすじ(ネタバレなし)
ブエノスアイレスから4ヶ月ぶりにパリに戻ったことをSNSで報告するエルザ。実はずっとパリにいて、新しい恋人と過ごしていたのを親友たちに秘密にしていたのだった。挙げ句の果てに、エルザは恋人にも隠し事をしだす。嘘がこじれまくり、事態は思わぬ方向に……。
『ガールフレンズ・オブ・パリ』シーズン2の感想
待望の新シーズンである。
シーズン1は全8話だったが、今シーズンは6話構成。
ちょっと短くなった。
おもしろいのは、シーズン1の脱力もののオチになっていた要素が、なんとこのシーズン2の出だしで、至極おもしろい要素として使われているところ。
このあたり、まずつかみはオッケー、って感じ。
ストーリー的にやはり気になるのは、このドラマの原題は『Plan cœur(ハート計画)』というだけに、今シーズンではどんな「計画」が飛び出すのか、というところ。
「どんな」だけじゃなくて、「誰が」「誰に」も含めて興味深かった。
願わくば第1話の最後あたりで「今度はそうきたか!」ときてほしいところである。
一番つまらないのは、ただ馴染みのキャラクターが出ているってだけで、もうタイトルは関係ない、みたいなの。
パート3以降の『ピンク・パンサー』シリーズなんかそのパターンだが、しかしあれはクルーゾー警部が相変わらずおもしろかったからまあよかったけど。
今シーズンも前と同じく、各エピソードのタイトルが「Plan 〜(〜計画)」のパターンで付けられていて、訳すとざっとこんな感じ。
第1話 Plan retour(帰国計画)
第2話 Plan lama(ラマ計画)
第3話 Plan de secours(救済計画)
第4話 Plan drague(ナンパ計画)
第5話 Plan d’après(後の計画)
第6話 Plan cœur(ハート計画)
第6話で初めてドラマと同タイトルのエピソードがくるってことは、シーズン1から続く物語の完結編のようなお話しになるのかしらん。
序盤でまず目立つのは、シーズン1よりかなりコメディとしてクオリティが上っていること。
この点で、なんだかんだ言ってエルザ役の女優、ジタ・アンロさんの魅力は大きい。
第1話から妙にテンション高くて、この人の演技を見ているだけで笑える。
とくに最初に言及した要素、エルザはブエノスアイレスに住んでいたと見せかけて、実はずっとパリにいて、新しい恋人と密やかにムフフな日々をすごしていた、という設定。
親友たちにバレないようにするため、あたふたする様は至極おかしかった。
他にも、最初にエルザは新しい職場に就職するのだが、その会社の社長さんというのが、二酸化炭素の排出量を減らして地球を救うため、ひとことづつしかしゃべろうとしない、というヘンな人。
そんな感じで、小ネタを随所に利かせてくるので、けっこう笑えるシーンはたくさんある。
その代わり、シーズン1のような、本筋になるような「計画」みたいなものはなく、それぞれの思惑が交差して混乱状態になる、という感じの流れで、いわゆるフランスのコメディによくあるドタバタ系。
それと、今回のテーマはどちらかというと、「恋愛」より「友情」という感じ。
その点、ちょっと邦題に近くなったな。
↓ここから先はネタバレあり↓
最終話のクライマックスはちょっと無理やりに無理やりっぽくした親友の結婚式シーン。
そこからいきなりありがちな「マイク片手にみんなの前で告白」という展開に。
(かなり古いが、『胸騒ぎの放課後』の坂上とし恵を思い出した)
そして最後はみんなで声を揃えて大合唱。
ぜんぜん感動はしなかったが、実は私、「いきなり歌い出す」モチーフに弱いのだ。
そこにきて「あれ、なんでわたし、歌ってんの」のセリフには思わず吹き出した。
ふりかえってみれば、今回は原題にある「plan(プラン)」はあまり関係なかったけど、コメディとして普通におもしろかったということで、最初に頭をよぎった通り、『ピンク・パンサー』シリーズの第3作目以降状態そのまんまだった。
まあ、総括としては、シーズン1と同じくらいシーズン2もおもしろかったが、おもしろさのタイプはちょっと違った。
シーズン1は一本通ったストーリー性があったし、タイトルの「計画」もひとつの目玉となる仕掛けがあった。
しかし今回はストーリーはあっちいったりこっちいったり。
それでいて、アメリカのドラマみたいに複雑に入り組んだ感じでも無く、どちらかというとシーズン1で広げた風呂敷きを、小ネタを挟みながら6話かけてたたんでいった、みたいな感じ。
その代わり、今回は普通にコメディとして楽しめた。
海外のレビューサイトを見るとこのシーズン2はかなり評判悪いみたいだが、私はこのテのコメディはかなり好きなので、けっこう好印象。
ちなみにこのブログでも、シーズン1の記事は「恋愛」カテゴリに入れたけど、この記事は「コメディ」カテゴリに入れてある。
同じドラマでシーズンによってカテゴリ変えたくなるって、かなり珍しいよな。
さて今後だが、とりあえずシーズン1から続いてきた恋の行方は一応、決着の運びとなったようだし、新しいキャラクターなんぞ追加して、装いも新たに、新しい出来事を追いかけるシーズン3を期待したい。
まあでも、内容から察するに、製作者はこのシーズン2で完結させる気まんまんみたいだから、よほど声が上がらない限り可能性は薄いのかな。
でもエルザたちにはまた会いたいよね。
評価
普通にコメディとしてかなりよかったです。
★★★★★
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