アニメ『ダンベル何キロ持てる?』- 1話がいいね、チョモランマ!

ダンベル何キロ持てる?
出典:amazon
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作品データ

監督:山﨑みつえ
原作:サンドロビッチ・ヤバ子、MAAM
脚本:志茂文彦
出演:ファイルーズあい、雨宮天、石上静香、東山奈央、堀江由衣、石川界人
音楽:橋本由香利
制作:2019年、日本

あらすじ(ネタバレなし)

食べることが大好き女子高生・紗倉ひびきは友人の上原彩也香から最近太り気味だと指摘される。
ダイエットのため一念発起したひびきが近所に新しく出来たシルバーマンジムの見学に行くと、そこには同じ学校に通う優等生の奏流院朱美がいた。
さわやかマッチョのトレーナー・街雄鳴造の指導の下、筋トレの奥深い世界へとのめり込んでゆくひびきであった。

まもなくコスプレ趣味の教師・立花里美先生や、ロシアからの留学生ジーナ・ボイドが仲間に加わり、ひびきたちの筋トレ道はいっそう花やかに。
さらに、ひびきの隠された意外な才能も発見され・・・。

『ダンベル何キロ持てる?』の感想

「体重を気にしだした女子がダイエットに目覚め、筋トレをはじめる」
というプロットを聞いて、そんなもので物語が成立するのか、と興味津々だった。

蓋をあけてみたら、成立しないものを無理に成立させようとせず、ストレートな日常系&キャラクターもので勝負、という感じ。
いわゆる筋トレ女子の日常を描きつつ、筋トレに関する豆知識などの情報を挿入してゆく、というコンセプト。

実は私も数年前から筋トレを始めていて、ベンチやダンベルなども買い揃え、週3日くらい家トレをやりつつ、毎日プロテインを飲みまくっている身だから、こういうアニメが制作されるのはタイムリーで刺激になるし、勉強にもなって有り難い。
(今もプロテインを飲みながらこの記事を書いていたりする)

このアニメの素晴らしいところは何と言っても2つある。

ひとつは主役の紗倉ひびきの声をやっているファイルーズあい。
どういう名前だと思ったら、エジプト人と日本人のハーフで、ファイルーズってのは本名なんだそうだ。
声の演技も最高レベルだし、歌もうまいし、YouTubeなどを見ると本人も非常にキャラが立っていて、これがデビュー作ながら、すでに大物の匂いがする。
これはもう十年もしたら大御所声優決定かも。

もうひとつの素晴らしい点は、テーマ曲の『お願いマッスル』!
ノリノリの名曲で初めて聴いてからまる3日くらい脳内ループ再生が止まらなくて困った。

ここから先はひとつ、曲を聴きながら読んでください。

歌っているファイルーズあいの歌唱も最高なら、メロディもGOOD。
そして歌詞が素晴らしい。

「ハイ、サイドチェスト!」
「ダンベルカール!」
「ハンマーカール!」

など、単なる筋トレの種目名も、歌詞にしてこういうポップな曲調にのせたら意外とシャープでかっこいいもんだな。

他にも

「腹筋6LDKかい」
「二頭がいいね、チョモランマ」
「筋肉本舗、はいズドーン」
「腹筋、板チョコ、バレンタイン」
「とれたて新鮮、肩メロン」

珠玉の言葉がいくつもある。

ちなみにこの歌詞に「キレてるよ」という言葉が出てきて、本編でもジムのさわやかトレーナーのお兄さん(街雄鳴造)が言っているが、これはキレッキレという意味での「キレてる」じゃなくて、筋トレする人がよく使う「トレーニングによって筋繊維が切れる」という意味の「切れてる」じゃないかと思う。
なんでも筋肉というのは、筋トレをすることで筋繊維が傷つき、それを回復する過程で発達するんだそうだ(最近の研究ではこの説は否定されているようだが)。
つまり「キレてるよ」とはパラフレーズすると「トレーニングでいい感じに筋肉を追い込んでるよ」という意味なのだと思われる。
念のため。

『ダンベル何キロ持てる?』の奏流院朱美

筋肉フェチ女子・奏流院朱美(出典:imdb

そんな感じで、このアニメ、最初は楽しく見ていた。

第1話はめっちゃおもしろかった。
腹を抱えて大爆笑して、しばらく余韻が醒めなかった。

第2話はまあまあ、おもしろかった。

ところが第3話以降が、ちっとも、おもしろくなくなった。

キャラものとしてこのアニメを考えると、第1話でまず

・ダイエット女子(紗倉ひびき)
・筋肉フェチ女子(奏流院朱美)

が出てきて、その後

・格闘技系女子(上原彩也香)

が出てきた。
この時点で私は「ああ、そうか、このアニメは筋トレ女子あるあるキャラクターのカタログ風アニメなんだ」と早合点した。

ところがその後はそうでもなく、芋を洗うように無駄にキャラクターが増えるだけで、それぞれの個性はなあなあに沈んで単調な横ならび状態。

ギャグは間が悪かったり、狙いすぎ(言葉をかえると演出過多という)だったりで、ちっとも笑えなくなった。
天丼にさえなっていない同じギャグの単調なくりかえしも目立つ。
全体的にテンポも悪くてダラダラしている。
ツッコミもウィットに乏しく、ことごとくつまらない。
たまに入る劇画調の絵柄がヘタで、しらけるだけ。ぜんぜん無くていい。

テーマ曲とファイルーズあいの声を聴くためだけに見ているような回が何話も続く。
(これをNetflixで見ている人で、「イントロをスキップ」を押す人っているのかしら)

『ダンベル何キロ持てる?』のファイルーズあい

ファイルーズあい
このアニメ、もうほとんどこの人の魅力でもっているようなもの(出典:imdb

それにしても、こないだ見た『フリクリ プログレ』もそうだったが、ストーリーもコンセプトも問題なくて、ただエピソードごとに出来にバラつきが激しいというだけの、単なる打率悪い系アニメって本当に多いな。
恐らく複数の演出家だか監督だかが、ローテーションで各エピソードを担当することが原因だと私は勝手に想像しているのだが、アニメの出来が悪くなる理由としては一番しょーもない。

これを私は「エピソード毎に監督が違うことによる打率悪い系アニメ駄作化現象」と命名したい。

とにかくこの現象、最近のアニメで妙に目立つ。
なんとかならんのだろうか、こういうの。

第1話は最高におもしろかったのに、残念だなあ。

声優のファイルーズあいの好演と主題歌『お願いマッスル』の素晴らしさを足しても、中間エピソードのつまらなさでアニメ全体の出来としては平均点を下回る。

まあそれでも、ファイルーズあいを知ることができたので、見てよかった。
それから筋トレなどについての豆知識はとても参考になった。

評価

第1話だけはオススメなので、一応リンク貼っときます。
★★★★★


『ダンベル何キロ持てる?』第1話を見る

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