映画『マンマ・ミーア!』の感想。イケてる焦点ずらしテク

マンマ・ミーア!
出典:imdb
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作品データ

原題:Mamma Mia!
監督:フィリダ・ロイド
脚本:キャサリン・ジョンソン
出演:メリル・ストリープ、ピアース・ブロスナン、コリン・ファース、ステラン・スカルスガルド、クリスティーン・バランスキー、アマンダ・サイフリッド
音楽:ABBA
制作:2008年、イギリス、スウェーデン、アメリカ

あらすじ(ネタバレなし)

エーゲ海の島にあるホテルのオーナー、ドナとその娘ソフィは、親子二人で仲良く暮らしていた。
ソフィの結婚式が明日に迫り、招待客が船で島に到着しはじめる。
ソフィはドナの日記を盗み読みしていて、自分の父親候補が3人いることに気付き、その3人の男性にドナの名前で招待状を送っていた。
ヴァージン・ロードを父親と歩きたいと願うソフィ。ドナはこの計画を知らない。
父親候補のサム、ハリー、ビルはそんな事情も知らずに、20年ぶりにドナに会いにやってくるのだった。

『マンマ・ミーア!』の感想

アバの歌でミュージカル映画を作ろう、という企画。
伝説的なアーチストの功績をこういう形で新たな世代に伝えようという試みは尊敬できる。
映画の出来も素晴らしい。

私はアバなんて興味あったことないんだけど、やっぱり子供の頃からあちこちで耳にしていただけに、懐かしい曲が次から次へとかかってきて、最初から最後までもう楽しくてしょうがなかった。
ホントに、ものの見事にABBAワールドに惹きこまれてしまった。

ミュージカル映画って歌がはじまるときのワクワク感がたまらないんだよね。
この映画はアクセントでアカペラなども効果的に使われていて、普通のコメディ・ドラマに突然ミュージカル空間が発生する臨場感が出ていておもしろい。

ハリウッドの伝統的なミュージカル映画って、ミュージカルシーンがはじまると、いきなり周りの通行人みたいな人たちが「みんなプロのダンサーさんたちだったのね」的な感じで綺麗に揃って踊り出す、みたいなのが定番だけど、これはイギリス・スウェーデンとの合作だからか、ミュージカルシーンはヨーロッパ風の自然な感じ。
監督のプロフィールを見たら、やっぱりイギリスの方だったのだな。

マンマ・ミーア!

意外とミュージカルもイケてたメリル・ストリープ(出典:imdb

一部、歌のあまり上手くないキャストの方がいたが、私は『トミー』(やはりイギリス映画)のオリヴァー・リードを覚えているから、なんも気にならない。
そもそも私はミュージカル映画にプレイバックシンガーを使うのはあまり好きじゃないのだ(インド映画は例外)。
ミュージカル映画は基本的には俳優さんたちに歌わせて、本業外だから中にひとりやふたり、歌のあまり上手くない人がまじってる、みたいなのもミュージカル映画のあるべき姿のひとつだと思っている。

ちなみにこの映画、元はブロードウェイだそうで。
舞台を映画化した映画って、例えば『シカゴ』とか、どうも場面転換とかミュージカルシーンとかに舞台っぽさがそのまま残っていて、鼻につくことが多かったんだけど、この映画はそんな舞台臭がほとんどしないところがよかった。

キャストではメリル・ストリープが意外とミュージカルにしっくりはまっているところに新鮮な驚きがあったが、アマンダ・サイフリッドの表情豊かな演技がまた可愛いこと。

ストーリーは前半ほとんど進まず、ただアバの歌を聴かせるためだけのシンプルなものかと思ったが、最後のほうは軽く「そうきたか」の連続で(エンドクレジットのアレも含めて)、なかなかどうして、よく考えられている。

↓ここから先はネタバレあり↓

マンマ・ミーア!

出典:Amazon

とくによかったのは、冒頭のやりとりで三人のうち誰が父親なのか、という謎にお話しの焦点を合わせていると見せかけて、最後はついに、お母さんが20年越しの愛を見つける、というオチがくるところ。
ああ、そうだよな、と、なんだか妙に納得してしまった。

よく考えたら、今さら誰が父親か、なんてどうでもいいよね。
子供は元気でよい子にすくすく育っているわけだし、三人とも父親ってことで何も問題ないじゃない。
それより大切なのはコレでしょ!
てな感じで、目を覚まされた思いだった。

あちらの映画を観ていてたまに思うんだけど、こんな感じで観客の予想を裏切りながらも、ど真ん中にググッとくるお話しのもってきかたが本当にうまいね。
邦画はなんの意外性もないようなストレートか、あからさまな変化球かのどちらかが多いもんな。

傑作でした。

評価

ミュージカル映画好きとしては至極満足の出来ばえ。
★★★★

Good Movie 認定


『マンマ・ミーア!(字幕版)』を見る
『マンマ・ミーア! (吹替版)』を見る

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