映画『教皇選挙』の感想 – 仮想現実の縮図という偽リアリティ

教皇選挙
出典:amazon
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作品データ

原題:Conclave
監督:エドワード・ベルガー
原作:ロバート・ハリス
脚本:ピーター・ストローハン
出演:レイフ・ファインズ、スタンリー・トゥッチ、ジョン・リスゴー、セルジオ・カステリット、イザベラ・ロッセリーニ、カルロス・ディエス
音楽:フォルカー・ベルテルマン
制作:2024年、イギリス・アメリカ

あらすじ(ネタバレなし)

ローマ教皇が急死し、新たな教皇を選出する秘密選挙「コンクラーベ」がバチカンで開催される。
選挙を取り仕切るローレンス枢機卿は、世界中から集まった有力候補の枢機卿たちの思惑や対立、陰謀に巻き込まれていく。
投票が進むにつれ、教会の権力争いと隠された秘密が明らかになり、やがて教会の未来を揺るがす衝撃の真実が浮かび上がる。

『教皇選挙』の感想

この映画が公開されたのは2024年10月。
ドナルド・トランプの大統領選の真っ最中だ。

この頃の英米の映画は本当にこういう、民主党のプロパガンダ的な内容が多い。

多様性の議論だとか。
不正の前例に「まるで教皇のニクソンだ」などというセリフを使い、ウォール街の思惑に反して失脚させられたニクソン元大統領を引き合いに出したり。
テデスコというトランプ的な役割のキャラクターを登場させ、それをことさら悪そうに描いてみせたり。

ただテデスコに関しては、トランプに似ているわけではなく、あくまでもトランプに「なぞらえた」キャラクターという点がポイント。
つまり一般市民に「トランプのような政治家はやっぱりいかんなあ」という「感情を発動させるスイッチ」となるような、そういうキャラクターにうまくデザインされているのだ。

これに対して、語り手の主人公を非常に理想的な好人物に描き、彼の「寛容」が極端な多様性を受け入れることで、民主党の価値観を好ましいものに誘導する。

ことさら好人物に描かれた主人公ローレンス枢機卿

映画としてはとても面白かったのだが、この映画を制作した魂胆がミエミエで思想的にはとてもうざい映画だった。
創作物というものはそもそも、アーチストが「この作品を通してこんなことを表現したい」という「創意」に基づいて作られるべきなのだ。
民主党という特定の政党の、裏に利権がベッタリこびりついている思想のプロパガンダである以上、この映画がどんなに良く出来ていても、面白くても、創作物としての評価は大きく下げざるを得ない。

非常に面白く出来た映画だけに残念、というか、あ〜あ、というか……

とにかく最近の英米の映画を見ていると、だいたい悪人はトランプ的な人物かナチス。
最後は多様性やら反ナショナリズムやらの着地地点に落ち着く。

そういえばこないだ傑作TVドラマ『ファーゴ』シーズン5を見たが、あれもロイ・ティルマンというトランプ的なキャラクター(トランプに似ているわけではない)を出して、クライマックスは民主党プロパガンダお得意の「中央政府を牛耳るエスタブリッシュメント(民主党=善)vs 武装の自由を掲げる地方自治(共和党=悪)」という構図にもっていく。
ロイに「ディープステートめ」などというセリフを言わせてるところなんてあからさまだ。

私の大好きなシリーズをプロパガンダに使わないでくれよ!

『教皇選挙』のテデスコ(左)と
『ファーゴ』S5のロイ・ティルマン(右)
最近の英米映像作品の定番悪役キャラ

閑話休題。

とにかく私は最近の英米の映画のこのプロパガンダ色が本当に下らなくて、いくら作品そのものが面白くてても心の底から楽しめないのだ。

つくづく、クリント・イーストウッドには長生きしてほしいと思う今日この頃なのである。

最後に余談だが、あのシスターがイザベラ・ロッセリーニだったなんて映画が終わるまで気がつかんかった。

評価

何も考えなけば面白い映画だったけど、ま、あんまり好きではないです。
★★★★★

Good Movie 認定


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