作品データ
原題:Fabulous Lives of Bollywood Wives
出演:ニーラム・コタリ、マヒープ・カプール、バーヴナ・パーンデー、シーマ・カーン、サンジャイ・カプール、カラン・ジョーハル、シャー・ルク・カーン、アナーニャ・パンデイ、ソーヘル・カーン、シャナヤ・カプール
制作:2020年、インド
あらすじ(ネタバレなし)
ボリウッドをよく知る4人の女性が、仕事と家庭を両立しつつ、ケンカしたり励まし合ったりしながら、友達付き合いを楽しむ様子をカメラが追う。
『ボリウッドワイフ ~ファビュラスな日々~』の感想
インドのボリウッド映画界のセレブ奥さん4人の、セレブな日々を追ったドキュメンタリー番組。
『カーダシアン家のお騒がせセレブライフ』のインド版、といったところ。
とりあえず登場人物紹介
まずは、4人の奥さんたちをざっと紹介してみよう。
シーマ・カーン(Seema Khan)
かの、ボリウッド映画の大スター、サルマン・カーンの弟ソーヘル・カーンの奥さん。
職業はファッション・デザイナー。
ニーラム・コタリ・ソニ(Neelam Kothari Soni)
元女優。
私の大好きなボリウッド映画『何かが起きてる(Kuch Kuch Hota Hai)』や『Hum Saath-Saath Hain』に脇役で出ていた方。
現在はジュエリー・デザイナーとして活躍している。
マヒープ・カプール(Maheep Kapoor)
私の大好きな『Shakti: the power』というボリウッド映画に出ている有名俳優サンジャイ・カプールの奥さん。
サンジャイ・カプールもこの番組の準レギュラーとしてちょくちょく出てくる。
サンジャイ・カプールの奥さんてことは、もちろん、アニル・カプールの義理の妹ということ。
また、シュリデヴィの義理の妹とも言える。
娘さんのシャナヤ・カプールは知らなかったが、とても美形で、デザイナー兼スタイリスト。
最近、女優デビューもしたらしい。
バーヴナ・パーンデー(Bhavana Pandey)
シーマの伯母。
娘はアナーニャ・パンデイ(Ananya Panday)という女優さんで、このドキュメンタリー番組の最終話で新人賞を受賞する。
職業はやっぱりファッション・デザイナー。
人が良さそうなセレブ奥さんたちの素朴な毎日は微笑ましいけれども
以上、義理の兄や義理の姉など、周辺に大スターの名前がちらほら出てくるものの、当の主役4人はとくに有名な人物というわけではない(インド本国ではいざ知らず)。
それもあり、いまいちどういうふうに面白がっていいのかツボがわからない番組だった。
知らない奥さんたちの毎日をカメラで映したからと言って、何が楽しいのか。
ただ、見る前はいけすかない金持ちたちの豪奢な生活を指をくわえて眺める番組かと思ったのだが、カプール夫妻がパリに旅行してエスカルゴをたどたどしく食うところとか、やっぱりどこか素朴でインドらしい。
そういうところだけはちょっとホッとした。
つまりセレブ奥さんたちと言っても、われわれが一部の金持ちに抱くイメージのように、浮世離れした変人ぽいところがぜんぜん無く、素朴な凡人ぶりがまぶしい。
そこがボリウッドのセレブらしくていいとも言えるけれども、正直、番組として決して面白いものではなかった。
ドキュメンタリーとしては、普通に映画のメイキングなどを見ていた方が、ずっと興味深い。
面白いリアリティ・ショーとはどういうものなのか
もう見るのをやめようかな、と思いはじめた第2話の最後あたりで、映画『何かが起きてる(Kuch Kuch Hota Hai)』の監督カラン・ジョーハルが出てきた。
ちなみにクレジットをよく見たら、カラン・ジョーハルはこの番組のプロデューサーもやっている。
第3話でカラン・ジョーハルと主役のセレブ奥さんたちが会食をするのだが、話しの流れで険悪なムードになり、喧嘩になってしまう。
私はこういうリアリティ・ショーというものを初めて見たのだが、この手の番組はこういうのが面白いのだろうか?
私はどちらかというと、ボリウッド映画界の裏舞台みたいなものをもっと見たかった。
唯一の見どころ、ニーラムの女優復帰ロード
映画の話題といえば、全編を通してニーラムの女優復帰の話題がちょくちょく出てくる。
地味ながら「どうやら、これがメインのストーリー・ラインか?」と思ったら、やっぱり最終回で、ニーラムが女優復帰することに決まったが、コロナ禍のまっただ中でどうなることやら、というところでシーズン2へ続く。
しかしこのストーリーラインもほとんど引っ張る力は無かった。
むしろ一番よかったのは、第7回でニーラムが他の奥さんたちとホテルで一緒に、自分が大昔に出演したインド映画を鑑賞する場面。
ボリウッド映画の踊りは実は簡単で、ステップが1種類しかなく、これにお尻でたまに角度をつけながら、ただ手をあれこれ動かすだけで変化を作っている、という秘訣を暴露していたの興味深かった。
あまりダンスがうまくない若手女優もミュージカルシーンを見事にこなすのはこういうノウハウがあるからなのだな。
いよいよシャー・ルク・カーンの登場、しかし……
最終話のクライマックスとして設定されたイベントは、キング・オブ・ボリウッド、シャー・ルク・カーンの奥さん、ガウリ・カーンが主催するパーティ。
なんのパーティーなのかよく分からず、出席するメンバーを見ても、たいした有名スターは出ていないようなので、おそらくこのドキュメンタリー番組のクライマックス用に開催されたパーティーなのかもしれない。
カラン・ジョーハル監督などのおなじみメンバー以外に、めぼしい出席者としては、ボリウッドのコメディ監督デヴィッド・ダワンの奥さん(本人じゃないところがしょぼい)がいた。
後半はいよいよシャー・ルク・カーン本人の登場。
ほとんどこのためにこの番組すべてがあったと言っても過言では無いくらいのビッグネーム。
しかしシャー・ルクは人格が高潔すぎて、番組自体の盛り上がりにはほとんど手を貸さない。
エキサイティングな番組を成立させるための最後のチャンスである最終コーナーの角をキレイにまるく取り除いたみたいな役割を果たして、あえなくシーズン1は幕を閉じた。
努力は認めるが……
この番組の総評としては、ボリウッドのセレブとはいえ、有名でもない人を、お膳立てして面白そうな人たちに仕立て上げようとしている努力がこじんまりと見えすぎて、ちょっと苦しい番組づくりに見えてしまった。
番組中にセレブ奥様たちが繰り広げる会話も出来事も、とりあえずカメラが回ってるから何かやらなくちゃ的な感じしかせず、意味あるドキュメンタリーが成立しているようには思えなかった。
例えばカラン・ジョーハル監督が何度か出てきて奥様たちと会話をするシーンがあるが、番組中にジョーハル監督は「ニーラムとは結婚以来、距離をとってきた」と言っているから、多分この番組のネタとしてこうして会って話している、ということなのだろう。
つまらなかったわけじゃないが、面白くはなかった。
評価
私はリアリティ・ショーというものを見たことが無く、どうしてもドキュメンタリーの視点で見てしまうので、この評価。
★★★★★
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