作品データ
原題:師弟出馬
監督:ジャッキー・チェン
脚本:ジャッキー・チェン、ラウ・ティンチー、他
出演:ジャッキー・チェン、ユン・ピョウ
制作:1980年、香港
あらすじ(ネタバレなし)
孤児のドラゴンとタイガーは名門金龍道場に拾われて共に仲良く育った。ところがタイガーは町の道場間で行われた獅子舞合戦で不正を行い、師範に追放されてしまう。冷静になった師範はドラゴンに免許皆伝の証である大扇子を持たせ、タイガーを連れ戻すように頼む。一方タイガーは悪党キムの一味となって、さらなる悪事の片棒をかついでいた。
『ヤングマスター/師弟出馬』の感想
子供の頃や30代の頃にも見たことがあったので、ほぼ15年ぶりくらいの鑑賞。
この映画の冒頭の龍の舞のシーンは今にしてみると素晴らしいな。
子供の頃はこういう高度なアートがわからなかったから、「早くちゃんとしたアクションはじまらないかなあ」なんて思いながら見ていた。
なんのなんの、この歳になって改めて見てみると、伝統芸能とアクションが見事に融合した画期的なシーンではないか。
それにちゃんと同時にドラマも進んでいる。
やはりこうしてみると、ジャッキー・チェンは監督としても優れているのがわかる。
アイテムやシチュエーションなど、毎回いろんなアイデアを盛り込み、常に新しい切り口のアクションを創造しようとしている確たる創意がうかがえる。
「同じようなことをやっていては意味がない。常に新しいものを魅せていかないと」とはジャッキー・チェンがインタビューで80年代に言っていた言葉である。
他の人が監督した作品と比べてみても、ジャッキー・チェンの新しいものに挑戦する姿勢、細かいところにまで創意工夫をねじ込み、今までにない衝撃を追い求めるスタイルは今からでも再評価されていいんじゃなかろうか。
この『ヤングマスター』のストーリーも、それまでの弱い主人公が達人のもとで修行して強くなるというパターンを脱し、新たなストーリー性を導入しようとした形跡がある。
無頼な兄を追って旅に出るという設定で、道中の1エピソードかと思われたユン・ピョウ親子との出会いから、ドタバタとアクションを楽しんでいるうちにいつのまにかクライマックスまで連れてってくれるという構成が今にしてみるとスッキリしていて秀逸。
これでまだ監督第2作目だというから驚く。
↓ここから先はネタバレあり↓
ラストバトルは、ボコボコにやられて「水をくれ」という主人公に、そこにあった唯一の“水”、20年間とりかえていない水パイプの中身を飲ませて、いきなり主人公が最強になってしまうという伝説のクライマックス。
中学生の頃、このシーンをテレビで見てどんだけ爆笑したことか。
この歳になって改めて見ると、ニコチンだって覚醒作用のあるドラッグの一種なのだから、20年分の凝縮されたニコチン水を飲んだ日には、確かにカラダに異常な変化が起きても不思議ではない。
荒唐無稽ながら、妙に説得力があるんだな。
評価
ジャッキー・チェン大監督に
★★★★★
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