ドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』シーズン7の感想

オレンジ・イズ・ニュー・ブラック シーズン7
出典:imdb
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作品データ

原題:Orange Is the New Black (season 7)
監督:マイケル・トリム、マーク・A・バーリー、ローラ・プレポン、ナターシャ・リオン、他
原作:パイパー・カーマン
脚本:ジェンジ・コーハン、タミ・サアー、他
出演:テイラー・シリング、ローラ・プレポン、ケイト・マルグルー、ナターシャ・リオン、タリン・マニング、ヤエル・ストーン、ウゾ・アドゥーバ、ニック・サンドウ、アリシア・ライナー、ジェイソン・ビッグス
制作:2019年、アメリカ

あらすじ(ネタバレなし)

前シーズンで出所したパイパーは社会復帰に奮闘中。
リッチフィールド刑務所で未だ服役している妻アレックスとの関係は微妙な展開に。
その他、主要メンバーの行末や如何に?

『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』シーズン7の感想

大好きなドラマがついにファイナル。
しかも前シーズンが傑作だったから、嫌が上にも期待はマックス。

はじまってまず登場人物たちの老けっぷりに衝撃を受ける。
ペンサタッキーなんて若い頃の回想シーンがあったりして、無理ありすぎ。

ストーリーも、最初からワクワクする展開だったシーズン6と比べてちょっと地味な出だし。

私はこのドラマはシーズン1、3、6がダントツでおもしろかった。
ちょっと好きではないのはシーズン2、4、5。
このシーズン7はシーズン4に似ていて暗い

しかしエピソードを重ねる毎に、地味ながらだんだんストーリーに惹きこまれていった。

相変わらず先の読めない展開が目白押しだが、どんなにストーリーがあっちやこっちへ飛びまくっても、最後の最後まで決してテーマからブレないのは素晴らしい。

1話1話がとてもドラマチックで、終わり方がいちいち映画みたい。
最終回に近づいているんだなあって感じ。

シーズン1からこのファイナルまで時間にして12ヶ月くらいのお話しなのだが、現実はこのシーズン7まで7年の月日がたっている。
こうしてシーズン7を見ていると、まだ12ヶ月しかたっていないリアリティを出すより、むしろあえて7年分の年輪を意図的に表現しようとしているように見えた。

シーズン1からふりかえってみると、キャラクターの成長・変貌ぶりを感じる。
ずいぶんいい人になったなあと思うのがペンサタッキー、カプート、フィゲロア。
悪くなったなあと思うのがダヤ。
おかしくなってしまった悲しい人たちがレッド、ローナ。
(ローナは最初から妄想激しかったけど、かなり増した気がする)

あまり変わらないのはパイパー。

それとクレイジー・アイズ!
こいつが出てくるとなんだかホッとするな。

こんな大好きなドラマなのに・・・
愛すべきキャラクターたちなのに・・・
最後、意外と涙は出なかった。

↓ここから先はネタバレあり↓

ラストシーズンともなると、愛すべきキャラクターたちみんなに幸せになってほしいと思うが、中盤からラストへ向けて暗い結末もちらほら描かれてゆく。
マリッツァがコロンビアに強制送還される結末など衝撃的。
演じている女優さん、ダイアン・ゲレロの家族が実際に強制送還された事件と意図的に重ねてある。

さらに大きな衝撃だったのはペンサタッキーの死。
テイスティがペンサタッキーの高校資格合格通知を見つけるところで、なんとペンサタッキー演じるタリン・マニングの曲がかかるところはジーンときた。

最終話は新旧レギュラーメンバーが総出演。
一応の決着をむかえた人もいれば、まだまだ進行中の者もいる。
明るい希望が見えてきた人もいれば、悲惨な人もいる。
人生いろいろだ。

このドラマ、原作のいろいろな要素をつまみ食いするみたいに使っているのだが、呆気にとられたのが出版のエピソード。
最後はパイパーが刑務所での体験を手記として出版するのかと思ったら、なんと最終話の早々にさらっとジュディ・キングのエピソードとして処理。
最後までこのドラマ、意表をついてくる。
シーズン7ともなるとちょっとやそっとじゃ驚かなくなっていたが、これにはさすがに「そうきたか!」とかなりびっくりした。
この部分までこうもあっさり裏切ってくるとは思わなかった。

細かな伏線はシーズン1との関連性が強いと思った。
シーズン1のクリスマスで歌えなかったクレイジーアイズが歌い、チキンは刑務所内を走りまわる。
それでもクレイジーアイズの手記は届かず、レッドはチキンを食べない。

ラストのパイパーとアレックスが向き合うシーンをぬかして、嘘くさいドラマチックな展開は一切排除しているところが立派だった。
直前までドラマチックなラストをわざと匂わせておいて、すべて裏切ることで、逆に現実の厳しさを表現している感じ。
このストイックなストーリー作りは見習いたい。

全体的にこのシーズン7は後半、最終回にむかって暗く悲しいエンディングへと進んでいっていたが、最後の最後はほんのり明るい雰囲気で終わらせてくれた。
本質的なアメリカの司法・刑法の制度は何も解決していないが、この明るさは我々ファンへのちょっとしたプレゼントだったんじゃなかろうか。

ここは素直に「ありがとう」と言ってこの感想を締めくくりたい。

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評価

良くも悪くもオレンジ・イズ・ニュー・ブラックらしいエンディングだった。
★★★★★

Good Movie 認定


『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』の原作本
オレンジ・イズ・ニュー・ブラック 女子刑務所での13ヵ月

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