Netflixオリジナル『ラブ、デス&ロボット』フィンチャーらしいや

ラブ、デス&ロボット
出典:imdb
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作品データ

原題:Love, Death & Robots
監督:ティム・ミラー、他
脚本:スコット・ホワイト、ノーラン・ノース、マシュー・ヤン・キング、他
出演:スコット・ホワイト、ノーラン・ノース、マシュー・ヤン・キング、メアリー・エリザベス・ウィンステッド
制作:2019年、アメリカ

あらすじ(ネタバレなし)

不気味な魔物、人類滅亡後の世界、殺人事件、エイリアン、意志を持つヨーグルト、妖怪ハンター、狼男、危険いっぱいの宇宙空間、砂漠の幻想、謎の芸術家、冷蔵庫の中の文明、などなど、大人のアニメを集めたアンソロジー。

『ラブ、デス&ロボット』の感想

Netflix制作の、SFアンソロジーもの。
全18話。

エピソードによってCGアニメだったり、実写だったりする。
昔アメリカのMTVで、好きでよく見ていた『Liquid Television』みたいなものかと期待したが、あそこまでバラエティに富んだものではなかった。

第1話の『ソニーの切り札』が、それでひねったつもりか的なオチも含めて酷く凡庸な作品だったので、初っぱなからこれではこのシリーズ、あまり期待できそうにないかな、と思ったが、やっぱり第2話『ロボット・トリオ』も、ぜんぜんおもしろくない。

ラブ、デス&ロボット

『目撃者』(出典:imdb

3話の『目撃者』なんて映像はいいのだが、お話しがダメ。
最初の数分で自然とあるオチが頭に浮かぶのだが、まさか、そんなオチ、いくら凡庸なシリーズでもそこまでダメな作品はないでしょ、でも最初の2話の出来を鑑みると可能性はあるよなあ、まあ違っても、いってこの路線かな、なんて考えながら見ていったら、オチは「いってこの路線」だった。

私は何も作品にはオリジナリティや意外性が必要だ、などと言っているわけではない。
鑑賞中にこんなことをグダグダ考える隙を与え、なおかつ、その通りの結末におさまるフトコロの狭さが創作物として二流だ、と言いたいのだ。

この手のアニメのアンソロジーだと、日本映画の『迷宮物語(1987年)』とか『MEMORIES(1995)』などの傑作を私はもう20年以上も前に見ているから、それなりのものを作らないと「まあまあ」とか「そこそこ」の作品ならもう駄作の印象になってしまうからこの手のジャンルは作り手にとっては厳しいものがあるよなあ。
そういえば、先に言及したMTVの『Liquid Television』の1エピソードに『迷宮物語』の『走る男』が流用されていたっけ。

クレジットをよく見たら、デヴィッド・フィンチャー制作だそうだ。
フィンチャーってずっと前から知名度の割には発想が古いと思ってたけど、その点やっぱりフィンチャーらしいな、と思う。

半分くらいエピソードを見ても、ひとつもおもしろいと思ったエピソードがない。

ラブ、デス&ロボット

『グッド・ハンティング』(出典:imdb

そしたら、第8話の『グッド・ハンティング』で初めて、やっと、せめて残念賞くらいはあげられる作品が出てきた。
残念賞でも賞をあげられるだけかなりマシだったというか、惜しい作品だった。
いいところもあった、ということだ。

ラブ、デス&ロボット

一番よかった『ゴミ捨て場』(出典:imdb

その次の『ゴミ捨て場』。
これがやっとやっとそこそこ楽しめた作品。
シンプルなのが幸いしたかと思われる。

ちょっと期待が出てきたかな。

次にちょっとキタのが『救いの手』というやつ。
これは内容だけはよかった。

ここからまた凡走に逆もどり。

ラブ、デス&ロボット

『ジーマ・ブルー』(出典:imdb

『ジーマ・ブルー』なんて、いい作品になりそうなアイデアは扱っているのだが、お話しのもっていきかたが説明臭いだけで、ちゃんと表現していないというか、“物語”として昇華されていない。
神話を語るくらいの技量を持てとは言わないが、このアイデアならもうちょっと深いと思える作品になってほしい。
画はよかったけどね、このエピソードは。

ラブ、デス&ロボット

『氷河時代』(出典:imdb

メアリー・エリザベス・ウィンステッドが出ている実写の『氷河時代』は、冷蔵庫の中に文明社会があるというアイデアがなかなかおもしろいと思った。
これはと期待したが、やっぱり最後まで見たらつまらなかった。

『歴史改変』は、まーまーかなあ。
でもなんだかやっぱりどこか微妙。

そんな感じで全エピソード鑑賞終了。

結局「おもしろい!」と思ったエピソードはひとつもなかった。

上に言及しなかったエピソードはすべてつまらないか、つまらないとまではいかなくても、別に見なくてもよかったな、と思うようなものばかり。

ラブ、デス&ロボット

『ラッキー・サーティーン』おっと、主人公を演じているのは『オレンジ・イズ・
ニュー・ブラック』のプッセイ・ワシントンではないか(出典:imdb

まとめると、それなりに楽しめたと言えるのは『ゴミ捨て場』だけ。
画はともかく、お話しだけ言ったら『救いの手』がいちばんよかった。
駄作ではあるけれど、ちゃんとセンスのある語り手が脚本を書いたら傑作になる芽はあったかな、と思ったのが『ジーマ・ブルー』。

そんなとこ。

『グッド・ハンティング』なんかもそうだけど、アイデアはよくても、お話しのもっていき方がただ映像で成り行きを説明しているだけなんだよね。

『ゴミ捨て場』が多少なりとも楽しめる作品になっていたのは、シンプルであるあまり、説明臭くなる余地がなかっただけなんじゃないかとさえ思えてくる。

海外レビューなどを見ると、やはり脚本のダメさを指摘する酷評がちらほら散見されるね。
私は半分くらい画も好きじゃなかったけど。

評価

このジャンルのアンソロジーなら、『ゴミ捨て場』くらいが最低ラインのシリーズを期待したい。
★★★★★

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