作品データ
原題:The Crown Season 4
監督:ベンジャミン・キャロン、ポール・ウィッティントン、ジェシカ・ホッブズ、ジュリアン・ジャロルド
原案:ピーター・モーガン
脚本:ピーター・モーガン
出演:オリヴィア・コールマン、エマ・コリン、ジリアン・アンダーソン、トビアス・メンジーズ、ジョシュ・オコーナー、ヘレナ・ボナム=カーター
制作:2020年、イギリス・アメリカ合作
あらすじ(ネタバレなし)
イギリスのエリザベス女王の半生を描くドラマシリーズ第4弾。
1977年、チャールズ王子はダイアナ妃と運命の出会いを果たし、結婚する。
1979年、サッチャーが初の女性首相となる。
ダイアナ妃とサッチャー首相が世界を賑わした十数年を描く。
『ザ・クラウン』シーズン4の感想
今シーズンの目玉はダイアナ妃とサッチャー首相。
ふたりとも私の世代ではニュースなどでリアルタイムに見聞きしてきた人たちなので、ようやく時代背景が身近になってきたぶん、いつもよりおもしろくなりそうな期待があった。
フタをあけてみたら、ひとつひとつのエピソードはシーズン3の方が充実していた感じ。
しかしこれが、シーズン4ひとまとまりのエピソードとしてみれば、これはこれでなかなかエキサイティングなシーズンだったとも言える。
例えばエリザベス女王とサッチャー首相の関係。
最初のほうで、真面目一徹だったサッチャー首相が、イギリス王室の堕落(と、サッチャーの目には映ったようだ)や、まわりの政治家たちの怠慢を目のあたりにするにつれ、世に知られる「鉄の女」へと覚醒してゆく過程が描かれる。
そして後半でサッチャー首相は、エリザベス女王の同性同年代のライバル的存在へとキャラ成長を遂げるのである。
一方、ダイアナは民間からいきなり王子様に嫁ぐことになった純情な少女の夢物語から、華やかな表舞台と現実との激しいギャップに苛まれ、苦難のヒロインへと転落。
当時あれほど世間を賑わしたプリンセスのロマンス物語の裏舞台がいかにドロドロと悲惨なものだったか、「不倫、そして離婚」、という結末を知っていて尚、有り余る衝撃があった。
このダイアナ妃の悲惨な境遇の表舞台で、彼女の人気が王室に果たした功績の描写が妙に痛快に目にうつり、このあたりのギャップもなかなかおもしろかった。
ちなみに単発のエピソードとしては、バッキンガム宮殿に侵入した一般市民のお話しが一番興味深い。
ネットで検索してみると、このシーズン4は事実を著しく歪曲していると関係者からかなり批判の的となっているようだが、私は前シーズンで発生した「昭和天皇効果」がいまだに後を引いていて、そこはあくまでもフィクションとして割り切って見ていることができた。
シーズン3の昭和天皇の描き方を見て、こういう「視点」でこのドラマは描かれているのだと思えば、まともな日本人ならこのドラマで描かれていることを鵜呑みにすることはなかろうと思う。
評価
相変わらず出来はいいし、文句のつけようのないおもしろさだが、今までのシーズンと比べるといまひとつ飛び抜けた盛り上がりに欠け、書くことに困るシーズン4だった。
★★★★★
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