作品データ
原題:That Sugar Film
監督:デイモン・ガモー
脚本:デイモン・ガモー
出演:デイモン・ガモー、スティーブン・フライ、イザベル・ルーカス
制作:2014年、オーストラリア
あらすじ(ネタバレなし)
人間は1日に平均でスプーン40杯もの砂糖を摂取しているそうだ。そこでオーストラリアの俳優デイモン・ガモーは自らが被験者となり、“健康”と言いつつ砂糖を大量に含む食品を60日間食べ続け、体や心がどのように変化していくのかを記録することにした。
『あまくない砂糖の話』の感想
オーストラリアのドキュメンタリー映画。
以前『スーパーサイズ・ミー』という映画を見たが、あれと同じやり方で、監督が自分自身を実験台にして、食品の問題点と食品業界の闇をえぐる、というもの。
具体的には、監督のデイモン・ガモーが1日にティースプーン40杯分の砂糖を2ヶ月摂取して、カラダにどんな影響があるかを調査する。
ちなみにこの“ティースプーン40杯分”というのは、人間が1日に摂取する砂糖の平均量だそうで、とくにめちゃめちゃ多い量というわけではない。
ただガモーさんはこれまで糖分をそれほど取らないヘルシーな生活をしていたので、著しくカラダに変化が現れた。
みるみるお腹はブクブク太りはじめ、肝臓は脂肪まみれ、頭はボーッとして冴えなくなり、疲れやすくなった。
この映画はここがポイントで、いわゆる、“大量の砂糖を摂取したら”じゃなくて、それまで砂糖をそれほど摂らない生活をしていた人が、“一般人の平均量の砂糖を摂取するようになったら”ということなのだ。
しかも、ガモーさんにとっては恐ろしい量ではあるが、スーパーの棚には砂糖をたっぷり使った食品が並んでいるから、少し食べるものを選ぶだけで容易く現代人が摂取できる量なのだった。
この、スーパーで手に取る商品をちょっと変えるだけで難なく規定量をこなせる、という点も、重要な実験“結果”のひとつといえる。
もうひとつこの実験のポイントは、摂取カロリーは実験前と据え置きで、砂糖の割合だけ増やす、というところ。
さらに実験中でもジャンクフードは避けるようにした。
つまり世間ではメタボなどの生活習慣病の原因はカロリーの摂り過ぎだジャンクフードだなどと言われているが、実は砂糖の割合を増やすだけで同じ健康被害が起きるのだと証明されたのだ。
件の『スーパーサイズ・ミー』もそうだが、こういう映画は監督自身が主演じゃないと制作が難しいよな。
人にやらせたら殺人行為にもなりかねない。
『スーパーサイズ・ミー』を見た後でもマックを愛食してゆく気持ちはまったく変わらなかった私だが、この映画を見たらさすがに砂糖の摂取量は出来る範囲で減らしていこうと思った。
おもしろいのは、ガモー監督の奥さんがこの映画の撮影開始時に妊娠し、ふたりのお腹が同時に大きくなってゆくところ。
奥さんは新しい生命を宿し、そして夫のガモーさんは、逆にメタボでどちらかというと死へ向かっていっている。
この対比。
映画の中盤でガモーさんが取材でメタボ大国アメリカへと渡るのだが、帰ってきて再会したふたりがお互いのお腹をさすりあうシーンが微笑ましかった。
片方は深刻なメタボ状態だから、ある意味ブラックである。
ブラックユーモアという言葉はあるが、「ブラックほのぼの」というのは初めて見た。
ちなみに原題はシンプルに『That Sugar Film(あの砂糖の映画)』なのだが、うまいこと言ったつもりか的な邦題はまあ可もなく不可もなく。
この映画の最高に素晴らしい点は、とにかくビジュアル表現がいいこと。編集も巧み。
やはりこれだけ映像が優れていると観やすいし、飽きない。
かなり出来はいいが、実は、私はこのタイプのドキュメンタリー映画は好みじゃない(理由は『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』の感想に詳しく書いたので割愛)ので、最高評価はつけられない。
評価
というわけで、ビジュアル表現のおもしろさに免じて好評価。
★★★★★
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