映画『ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト 鮮血の美学』恐怖の監督不行届

ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト 鮮血の美学
出典:imdb
この記事は約4分で読めます。

作品データ

原題:The Last House on the Left
監督:デニス・イリアディス
脚本:アダム・アレッカ、カール・エルスワース
出演:トニー・ゴールドウィン、モニカ・ポッター、サラ・パクストン、ギャレット・ディラハント、マーサ・マックアイサック、リキ・リンドホーム
制作:2009年、アメリカ

あらすじ(ネタバレなし)

医師のジョンと妻エマ、娘メアリーは、休暇に別荘を訪れる。メアリーは町で働く友達ペイジに会いに行く。ある若者と知り合いマリファナを吸っていると、彼の父親とその仲間が帰ってきて、ふたりを拉致。実は彼らは凶悪犯だったのだ。必死の抵抗も虚しくペイジは殺害、メアリーはレイプされたうえ銃で撃たれ瀕死の状態にされてしまう。その後、嵐がやってきて、凶悪犯たちは森で事故を起こし、怪我を負う。彼らが逃げ込んだ先は皮肉にも、ジョンの別荘であった。娘に起こった悲劇を知らない両親は、彼らに宿を貸すことになるが……。

『ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト 鮮血の美学』の感想

ウェス・クレイヴン監督のホラー映画の名作『鮮血の美学』のリメイクである。

オリジナルの『鮮血の美学』はベイルマンの『処女の泉』というスウェーデン映画にインスパイアされて1972年に制作された。
日本では未公開で、ぜんぜん関係ないイタリア映画の続編ということにして『白昼の暴行魔2』のタイトルでテレビ放映されただけ。
いわゆる典型的なマイナーB級ホラーだったのだが、後にウェス・クレイヴンが『エルム街の悪魔』などでメジャーになり、ついでにプロデューサーが『13日の金曜日』のショーン・S・カニンガムということで、『鮮血の美学』と改題されてホラー映画ブームにのってVHSビデオ発売され、やっとホラー映画ファンの知るところのものとなった。

私もその流れで80年代後半に見たが、オリジナルはなかなかの傑作。
かの『悪魔のいけにえ』より2年も早くチェーンソーを凶器に使っているなどの事実を持ち出すまでもなく、現代では70年代ホラー映画ブームの幕開けを代表する一作にまでその評価が上がっている。
リメイクされるのも当たり前というか、ちょっと遅すぎたくらいだ。

ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト 鮮血の美学

前半はいい感じだったリキ・リンドホーム(右)
出典:imdb

しかも、これに私の大好きなリキ・リンドホームが悪役のひとりで出演しているとあれば、いやが上にも期待は高まる。
(ちなみにリキの主演ドラマ『Garfunkel and Oates』で、リキが『The First Door on the Right』という映画に出演するというパロディがあった)

冒頭からいい雰囲気で、中盤まではそれなりの展開。
ところが後半がつまらない。

こういう映画はぶっちゃけ、殺すシーンでどれだけ「スゲー」とか「ぐえー」とか言わせてくれるか、スカッとさせるか、笑わせてくれるか、がキモだと思う。
それ以上の深いものはいらないとかそういう話しではなくて、最低限それだけしっかりやったらそれなりの作品になるのだ。
そんな難しことじゃないだろう。
ちょっと殺し方とか撮り方とか工夫すればいいだけのことでしょうに。
どうしてここまでつまらなくできるのか不思議でしょうがない。

↓ここから先はネタバレあり↓

暗くてよく見えない照明に、ただもみ合うだけのバイオレンス。
お目当のリキ・リンドホームも前半はなかなかいい雰囲気していたものの、後半はしょぼくてすぐ死んだ。

それにチェーンソー、出てこない。
電子レンジって……グレード落ちすぎ。
無駄に「ちょっと考えました」感が出ているだけ逆にシラケる。

後にタランティーノの『デス・プルーフ』などでもオマージュされた被害者と加害者の逆転劇という斬新なフォームが、下手くそな演出によって台無しにされている。
というのも、被害者と加害者が逆転するシーンを境に、本当に登場人物の面構えまでその通りに変わってしまうのだ。

最後の字幕を見たらプロデュースにウェス・クレイヴンとショーン・S・カニンガムの名が。
関わってたのね。
プロデューサーとはいえ、しっかりカントクしないとダメじゃん。

評価

今度は私が加害者だ。くらえ。
★★★★

Bad Movie

コメント

タイトルとURLをコピーしました